馬子にも衣装とか、京女に東男とか、外見を表現することわざや慣用句は日本語の中にもあります。
そして全てを判断してしまう間違いを人間は往々にして犯しがちです。
どーもあそーくです。
今回紹介することわざは、そんな外見に惑わされる人間の愚かさを表現したものとも言えます。
反対に、外見自体が目的の場合は何の害もないものなで、寧ろいい表現にもなったりします。
こんな目的が異なると使い方も逆になってしまうような言葉です。
それではどうぞ
ดูช้างให้ดูหน้าหนาว ดูสาวให้ดูหน้าร้อน
象を見せるなら冬、女性が見せるなら夏
発音:duu cháaŋ hâi duu nâa nǎaw , duu sǎaw hâi duu nâa rɔ́ɔn
- ดู:見る
- ช้าง:象
- v1 + N + ให้ + v2:v2 するように N を v1 する
- หน้าหนาว:冬、冬季、乾季
- สาว:若い女性
- หน้าร้อน:夏、夏季、暑季
このことわざの意味は通常の姿よりよく見せたり、よく見えるという状態を表しています。
象と女性それぞれについて説明します。
まず象ですが、昔の人はなぜ象をみせるなら冬にしろと言ったのでしょうか?
象にとっての発情期は冬なんです♥。
この季節になると象の様子はいつもと違います。賢かった象も獰猛で凶悪になります。コントロールも難しくなります。
今まで取ったことのない行動をとるのが冬なんです。
しかし、その一方で発情期の象はいつもより力強くなり、丸太などを引っ張る力もいつものそれとは全く違います。
このように冬の象はポテンシャルいっぱいに発揮しているので、同じ象でもいつもより仕事のできる象に見えます。
というわけで、象を売ろうと考えている人は冬に象を見せることにより、良い象だと思った買い手から大きい利益を得られるというわけです。
価格以上の価値がない! という事です。
女性の場合はどうでしょうか?
女性が美しく見えるのは夏だとタイでは思われてます。
というのも夏にはタイ人でも薄着になります。ボディラインもはっきりして女性らしく見えます。
肌もみずみずしく、乾燥してカサついたりしていないそうです。
暑い季節なので肌の脂分が肌を滑らかに潤いのあるものにしてくれるそうです。
この辺りは暑い! と感じるレンジが日本人とズレているので、日本人にとってタイの冬が乾燥しているとは感じないと思いますが…
こんな夏の季節には、若いタイの男性なら誰も若い女性から目を背けることは不可能になります。
ということで、夏の女性はそれ以外の季節より何割増しかでキレイに見えるというわけです。
象と女性のいつもよりよく見える条件を並列表記した表現がこのことわざです。
どんなとき使う?
いつもより良い状態を表現している言葉なので、その裏には
「実際はそうでもないよね?」
といったニュアンスを含んだものです。
まー、誰かに向かって言う場合は結構失礼な物言いになります。
また、これとは逆に、その物の特徴を際立たせた状態、自然のメカニズムとか法則とか正しい状況で、良い状態を表す時にも使われます。
日本語では山と言えは富士山だよね! とか、チェンマイと言えば夏に限るよね! とかの見る人が一番いい状態を見れるように提示する場合です。
具体的使用例
ソムチャイ君と花子さんは日本に旅行に来ています。
バンコクを出たのが3月の終わり、これから暑さのピークを迎える時期です。一方東京は思ったより寒く、持ってきた服では我慢できそうにありません。
花子さんは取り敢えず空港で服を買いましたが、時間もなく、いまいち気に入る服が見つかりませんでしたが、寒さには勝てません。
渋々その買った服を着て都心に向かうことにします。
花子さんは買った服がイマイチ気に入らないらしく、終始憮然とした表情です。
ソムチャイ君は横目でチラチラ花子さんの様子を伺ってますが、かけるべき正しい日本語が思いつきません。
そうこうしているうちに都心に近づいてきます。
花子さんは相変わらず不機嫌な表情を浮かべていますが、それに反してソムチャイ君の目は輝きを増してます。
楽しそうなソムチャイ君を見て増々不機嫌になる花子さんでしたが、ソムチャイ君の視線の先をみて不機嫌指数はピークに達しました。
ソムチャイ君は卒業式に向かう学生の着物姿をみて目を爛々と輝かせているんです。
しかも悪いことにソムチャイ君
「日本の若い子は可愛いですね!」
と禁止ワードを発してしまう始末です。
それに対して花子さんはすかさず
「卒業式で着物着てるだけだし。象を見せるなら冬、女性が見せるなら夏ってだけでしょ?」
と吐き捨てるように言い放ちます。
はっと我に返ったソムチャイ君は、視線をそっと窓の外に向けるのでした。
いやー怖いですね。花子さんすっかりタイ人化してます (゚∀゚)
状況をきちんと考えてから言葉を発しないと、後で大変な目に遭うといういい例です。
TPOを考えて言葉を発しましょうね。「タイ語ヨクワカラナイ」じゃ済まされない場合もあるかもしれませんよ。
おわり