簗(やな)っていう漁具知ってますか?
川に仕掛けて、打ち上がった鮎などを手づかみで捕まえる漁法が日本にはあります。
今回紹介するタイ語のことわざは方法は少し違いますが、魚を手づかみで捕る漁法が舞台となっています。
ことわざの意味は日本にあるものとほぼ同じですが、タイでは「魚」を使ったものです。
どんな意味かは本文を読んでもらえれば分かりますが、手づかみなら断然「現金」がいいかなぁ(笑)と思うのは僕だけではないはずです。
それではどうぞ
Contents
จับปลาสองมือ
両手に魚をつかむ
発音:càp plaa sɔ̌ɔŋ mɯɯ)
- จับ:つかむ、触る、~を捕る、捕獲する
- ปลา:魚
- สอง:数字のニ、2つ
- มือ:手
「สองมือ(sɔ̌ɔŋ mɯɯ)」だと二つの手ですが、「มือสอง(mɯɯ sɔ̌ɔŋ)」だと second hand ー 中古の意味になります。
このことわざの意味は「二兎を追う者は一兎をも得ず」です。
日本ではこういった表現にウサギが登場します。うなぎではありません。www
というわけなので、このことわざの意味は2つのことを同時に行った場合には、その十分な結果を得られないばかりか、最悪の場合、何も得ることが出来ないなんてことになりかねないというコトです。
まー「虻蜂取らず」でもいいです。
魚は水生生物で、脊椎動物です。
そのほとんどがエラ呼吸をしています。
このエラ呼吸を可能にするためには常に動き回っている必要があります。
こういったエラ呼吸に最適化するための頭部、胴、そして尻尾があり、ヒレによって動くので、捕まえるのは困難を極めます。
エビやカニとは段違いの素早さを獲得したのが魚です。
これが一般の魚類の形態ですが、ウロコのないものや住む場所も海だったり川だったりと多種多様です。
ウナギみたいに、両手で捕まえたからといって安心できない種族もいます。
基本的に魚を手で捕まえるのは難しいということです。
このことわざで使われている漁法は、浅い運河や、浅くない運河の場合でも水を抜いた時に魚を捕るという方法です。
タイでこのような方法で魚を捕獲する際には両手でしっかりと魚を掴みます。
魚に逃げ場はないといっても、両手を使わなければ上手く掴むことが出来ないからです。
こういった状況にもかかわらず、急いで沢山の魚を捕まえたいという気持ちから片手でつかもうとしている様子を表しています。
ご想像どおり魚はすり抜けて逃げていってしまいます。
このようなタイの漁法から「二魚を掴むものは一魚も得ず」じゃなくて「両手に魚をつかむ」ということわざが出来たというわけです。
どんなとき使う?
相手に対して注意を喚起するときに使います。
まー「二兎を追う者は一兎をも得ず」と同じですね。
一つのことに心が定まっていない状態であれこれ行動したり、その結果失敗することが分かっているときには注意をしてあげたくなりますよね?
また、2つのことを同時に出来るわけもないのに欲張ってしようとしているヒトには
「無理じゃね?」
って注意したくもなります。
そんな相手にはこのことわざを送ってあげましょう!
賢い人ならきっと自分の愚かさに気付くはずです。(笑)
具体的使用例
花子さんの大学時代の話です。
当時花子さんはある男子大学生のことを狙っていました。
花子さんと同じ学科にもその彼のことを狙っている女子がいました。
花子さんとその彼女は実は仲があまり良くありません。
そんなとき、その彼女が大学のミスキャンパスコンテストに出場するという情報を聞きつけた花子さんは、こっそりと自分も出場の登録をしたのでした。
「これでアイツに勝てば彼はワタシのもの ♥」
なんて意気揚々と登録を済ませた途端
「負けたらどうしよう…」
と急に不安にかられるのでした。
そんな感じで鬱々としながら街を歩いているととても素敵な水着を見つけたのでした。
お値段の方もとても素敵な値段で、ちょっと花子さんの経済事情では手に入れるのは難しい状況です。
困った花子さんはバイトをすることにしました。
選んだバイトはフィットネスジムです。
空いた時間は自由に設備を使っていいということだったので
「ダイエットも出来るし、お金も稼げると一石二鳥。ラッキー!」
と少々浮かれ気味です。
担当したのはフリーウエイトのエリアでした。
筋骨隆々なお兄さんたちにちょっとひるんだ花子さんでしたが、お金のためです。頑張ってバイトを続ける決意は揺らぎませんでした。
お兄さんたちは見た目と違い、花子さんに優しく、ダイエットのアドバイスなんかもしてくれます。
いつしか花子さんもお兄さんたちの人気者となり、ベンチプレスのサポートなども少しづつ出来るようになりました。
体重の方もお兄さんたちのアドバイスもあり、順調に減ってきています。
バイト代も入り、だいぶお金に余裕のできた花子さんはお目当ての水着の他にもコンテスト用のドレスを買い込んだのでした。
準備万端で望んだキャンパスコンテストです。
お兄さんたちにもサムアップで見送られた花子さん。
何があってもアイツに負ける気がしません。
水着審査のときがやってきました。
颯爽と新しい水着を着込んだ花子さんです。
今日はいつもより力が入っています。
(若干キツイかな?)
と思いましたが、キッと気合の入り方がいつもと違うからでしょう。
いざステージに立ってポーズを決めた途端です。
ぱーん ぱーん ぱーん…..
いきなり水着が弾けて、粉々になってしまいました。
その後の記憶は花子さんにはありませんが、ダイエットの方向を間違えたのは間違いありません。
両手に魚をつかんだ結末がこれでした。
ダイエットとコンテスト優勝の両方が同時にこぼれ落ちていっただけでなく、例の彼からも
「オリンピア」
と呼ばれるようになってしまいました。
古代ギリシアのオリンピアでは全裸で競技をしたからというのは言うまでもありません。
花子さんの大学時代の黒歴史でした。
おわり