【タイの昔話】タップタオ洞窟 チェンマイ北部の500のコウモリの話

今回はタイ北部の物語です。

舞台はタイ北部チェンマイ県のワットタップタオという寺院に伝わるものです。

それではどうぞ

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タップタオ洞窟の紹介

地元の人たちにタップタオ洞窟と呼ばれている洞窟は、チェンマイ県のファーン郡にあるパーホムパック山脈の中にあります。

タップタオ洞窟の特徴としては他の洞窟と比べてかなり奇妙なところです。

というのもこの洞窟は二つで成り立っています。そのうちの一つはほぼ球状だからです。

この球状の洞窟の内部には二体の仏像が安置されていて、誰が作ったのかよくわからないのです。

このうち一体の仏像は大きな涅槃仏(横になっている仏像)で、4メートルにもなります。

そして、もう一方の仏像は座っている形態で、大きなレンガを積み上げて作られています。その頭の先端は洞窟の天井に触れるほどです。

この仏像は参拝しに訪れる人のための本尊として設置されています。

もう一方の洞窟の形状は細長いものです。

這い上がっていくための梯子があり、何層にもなっていて、一つの層を行ってもまた一つ層があるようなところです。

洞窟の正面にはガイドがいるので、頼めば明かりを持って一緒に洞窟へ入っていってくれます。

登っていく梯子は洞窟の壁と深い割れ目の間にかかっています。要するに洞窟を登る時は落ちないように注意していかなければなりません。

梯子の区間が終わったら「罪を通り抜ける扉(ประตูลอดบาป pratuu lɔ̂ɔt bàap)」につきます。つまり、とても狭い石の穴のことです。

伝えられていることによると、穴を通り抜ける前に祈らなければなりません。

もし罪や業(カルマ)があるなら、たとえ痩せて体が小さい人だとしても通り抜けることはできず、罪がなければ太っていたり体が大きくても通り抜けることができるそうです。

ほんの少し歩いていくと洞窟の天蓋にたどり着きます。

そして、この上には一面のきれいな景色が広がっています。

洞窟の天蓋には仏塔があり、灰色の土で組み上げられています。

仏塔は先端が尖った形状の丸い形をしていて、一般的な仏塔と同じです。

高さは約3ソーク余りあります。

(ソーク:タイの長さの単位で大体50センチ)

この仏塔は地元では「柔らかい仏塔(พระธาตุน่วม phrá thâat nûam)」と呼ばれています。

※พระธาตุは仏塔、น่วมは北部方言で柔らかいという意味

仮に指で仏塔を押したら場合にはそのまま指の跡が仏塔に着いてしまいます。

しかし、しばらくするとその指の跡は元の形状のように平らに戻ります。

コインなどを仏塔を押しつけた場合、押し付けたものは仏塔に少しの間ですがくっついていることができますが、しばらくすると落ちてしまいます。

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タップタオ洞窟の物語

むかしむかし、この洞窟にはコウモリが500匹住んでいました。

ある日のことです。

巡礼中の阿羅漢がこの洞窟にやってきました。

500匹のコウモリたちはその阿羅漢から仏教のありがたいお話を聞く機会を得ました。

阿羅漢から話を聞いたあとには、コウモリたちはブッダの教えに帰依する気持ちを持つようになりました。

この500匹のコウモリたちの死後は、一匹残らず全て天界に至り神となりました。

その後ブッダが人間界に転生してきて仏法を広めたとき、この500の神たちも阿羅漢に化身して菩薩の修行をするために、同時に人間界におりてきました。

この阿羅漢となったコウモリたちはその後、前世がコウモリで、洞窟の中に住んでいたということを思い出します。

そこで洞窟のある場所へと向かいました。

その洞窟の中で阿羅漢として菩薩の修行を完成させることができたのです。

そしてこの500の阿羅漢たちの祈りは通じ、涅槃に至ることが出来たというのです。

元コウモリだった阿羅漢たちは涅槃に達したので、その500体の亡骸は洞窟の中に山のように積み重なっていました。

何日か経つと異臭がし、その臭いは天界にまで届くほどでした。

神々たちはその臭いに耐えられなくなったので、皆でインドラ神にお願いをしに行きました。

インドラ神はある神にその500体の亡骸をなんとかするように命令しました。

インドラ神からの命令を受けた神は天界から舞い降りて洞窟へやってきました。

そしてその神によって天界の神聖な火を吹きつけることによって、阿羅漢500体の亡骸全てを火葬にしました。

この火葬の時に出てきた遺灰は洞窟中に積み上がり、さらに火も勢いが衰えることがなく、地下1000ワーまで、天空には何十ヨートの高さまで燃え上がりました。

(ワー:タイの長さの単位で約2メートル、ヨート:同じく約16キロメートル)

最終的には周囲8000ワーもの範囲に燃え広がりましたが、それでも火は激しく燃え続け、消すことが出来ませんでした。

ここで深い穴の国にいるウジュナーカーという大蛇王(ブッダの護衛)が地上の大火事を誰も消すことが出来ないということを知ります。

そこでこの大蛇王が地上へ出てきて水を吹きかけることによって、やっと天界の神聖な火を完全に消すことが出来たのでした。

後には阿羅漢を火葬したことで灰が洞窟内いっぱいに山のように積み重なりました。

地元ではこの洞窟のことを「ถ้ำทับเถ้า thâm tháp thâw」と呼ぶようになりました。

この名前の意味は「山のように積み重なった灰」という意味です。

その後、発音が変化して「ถ้ำตั๊บเตา thâm táp taw 」または「ถ้ำตับเต่า thâm tàp tàw」と呼ばれるようになります。

一方、大蛇王が火を消す時に吹き付けた水は、洞窟のすぐ近くにある小さな沼に流れ込んだと言われています。

この小さな沼は「緑の沼」と呼ばれるようになったということです。

現在、この洞窟はチェンマイの憩いのスポットとなっています。

今回紹介した話は五百羅漢の由来のタイ版と言えるかもしれません。

おわり

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