タイ文字の子音文字には44種類(廃字2字含む)あります。
これを高子音、中子音、低子音の3種類に分類して学習するのが一般的ですが、実は別の分類方法もあります。
どーもあそーくです。
僕たち外国人が学習する3種類に分類した文字の習得方法は、主に発音を主体に分類したものです。
今回紹介するのは文字の使われ方に着目した分類の方法で、主に綴り(つづり)等に於いて役に立ちます。
タイでも初等教育では外国人が学習するような3種類の分類で学習しますが、こちらの分類も実際に存在するものです。
僕のオリジナルではありません(笑)。
この分類方法は一般的な外国人用のタイ語学習では必要なのかどうかわかりません。
ただ、この分類法を知ってるといろいろと役に立つので一応説明します。
なので、初学者や中級者の方は
「そんな分類もあるんだ、へぇ~」
くらいで読み流してください。
それではどうぞ
従来のタイ文字子音の分類
日本のテキスト等で、タイ文字の分類は
- 高子音 - อักษรสูง(11)
- 中子音 - อักษรกลาง(9)
- 低子音 - อักษรต่ำคู่(14)、อักษรต่ำเดี่ยว(10)
と言った分類になります。 ※()内は文字数
中には低子音を2つに分けないで24個をひとまとまりで学習した人もいると思います。
低子音を分類する場合は
- อักษรต่ำคู่ が
「พ ท ช ค ฟ ซ ฮ ภ ฑ ฒ ธ ฌ ฅ ฆ」の14文字 - อักษรต่ำเดี่ยว が
「ม น ง ว ล ร ย ณ ฬ ญ」の10文字
といった分け方をします。
この二種類の低子音の違いは、อักษรต่ำคู่ の方は高子音に同じ音があるのに対して、อักษรต่ำเดี่ยว の方は無いといったものです。
日本語だと อักษรต่ำคู่ を「対応低子音」、อักษรต่ำเดี่ยว を「単独低子音」と言ったりもするそうです。
いずれにせよ、「音」に注目して分類した方法です。
綴り(スペル)に注目して分類する方法
その由来や使われ方に沿って分類する方法が今回紹介する方法です。
パーリ語やサンスクリット語由来のものとか、タイオリジナルのものとかで分ける方法です。
どこの由来かということよりも、「綴り」に大きく関係してくる分類であることに注目すべきです。
こちらも3種類に分類しています。
- พยัญชนะเดิม(phayanchaná dəəm)
- พยัญชนะเติม(phayanchaná təəm)
- พยัญชนะกลาง(phayanchaná klaaŋ)
日本語でこれらを何と呼んでいるのか寡聞にして知らないので、ココではこのまま使いますが、一応意味としては
- พยัญชนะ:子音
- เดิม:元の、いつもの
- เติม:加える、補給する
- กลาง:中間、真ん中
ということなので、なんとなく所属する文字グループの特徴はわかっていただけると思います。
それでは、それぞれについて説明していきます。
พยัญชนะเดิม
このグループに分類される文字の大部分は、パーリ語やサンスクリット語由来の単語で使われてきた文字です。クメール語からの借用語にも使用されます。
タイ・オリジナルの単語でも一部使われることもあります。
このグループに属する文字としては
「ฆ ฌ ญ ฏ ฐ ฑ ฒ ณ ธ ภ ศ ษ ฬ」の13文字となります。
借用語とタイで作られた単語の例その1
パーリ・サンスクリット由来 | クメール由来 | タイオリジナル | |
ฆ | โฆษณา(広告) | ー | ฆ่า(殺す) |
ฌ | ฌาน(瞑想) | เฌอ(樹木) | ー |
ญ | ปัญญา(知恵) | ผจญ(困難と戦う) | ญี่ปุ่น(日本) |
ฏ | ปรากฏ(明らかになる) | ー | ー |
ฐ | ฐานะ(立場) | ー | ー |
ฑ | มณฑล(省 昔の行政区) | ー | ー |
ฒ | วัฒนธรรม(文化) | ー | เฒ่า(老人) |
ณ | คุณ(あなた) | ー | ณ(~において) |
ธ | พุทธ(ブッダ) | ー | ธง(旗) |
ภ | ภริยา(妻) | ー | สะใภ้(親族の嫁) |
ศ | ศาล(法廷、祠) | ー | ฝรั่งเศส(フランス) |
ษ | ภาษา(言葉) | ー | อังกฤษ(英国) |
ฬ | จุฬา(凧) | ー | ฬ่อ(ラバの古語=ล่อ) |
という風に基本的にパーリ・サンスクリット語由来の単語と考えていいものです。
พยัญชนะเติม
タイで、タイ語の発音に合った形にするために作られた文字です。
タイ語で発音しやすくするために、借用語をタイ式の発音に変化させる必要があり、後から加えられたと考えられています。
このグループには
「ฃ ฅ ซ ฎ ด บ ฝ ฟ อ ฮ」の10文字になります。
借用語とタイで作られた単語の例その2
タイオリジナル | パーリ・サンスクリット由来 | その他借用語 | |
ฃ | ฃัน(鳴く=ขันと同じ) | ー | ー |
ฅ | ฅน(人=คนと同じ) | ー | ー |
ซ | โซ(飢えた) | ー | โซดา(炭酸水) |
ฎ | กฎ(規則) | ราษฎร(民衆) | ー |
ด | ดู(見る) | ดารา(星、天体) | โดย(~で) |
บ | บ้าน(家) | บิดา(父親) | เบนซิน(ベンジン) |
ฝ | ฝา(フタ、壁) | ー | ไต้ฝุ่น(台風) |
ฟ | ไฟ(火、電気) | ー | ฟรี(フリー) |
อ | อา(叔父・叔母) | อาคาร(建物) | อีเทอร์(エーテル) |
ฮ | โฮกฮาก(横柄な) | ー | ไฮโดรเจน(水素) |
พยัญชนะกลาง
このグループの文字は、タイ語、パーリ・サンスクリット語その他の借用語で広く使われます。
汎用性の高い文字のグループです。
このグループで注意しなければならないのは、パーリ・サンスクリット語からの借用語については、このグループの文字のみ声調記号(วรรณยุกต์)を付けることが出来るということです。
例えば、こういうところからも「พยัญชนะเดิม」のグループに属する「ญี่ปุ่น」はタイ語オリジナルの言葉と判断できます。
このグループに属する文字は
「ก ข ค ง จ ฉ ช ต ถ ท น ป ผ ม ย ร ล ว ส ห」
と残りの21文字です。
また、このグループに特有のルールとしては、ห の付いた借用語の ห の上に黙字符号「_์」(การันต์)を点けた場合、その前の文字は、「_่」(ไม้เอก)をつけたものに変化します。
- เสน่ห์:魅力
- พ่าห์:背負う人、輸送機関
借用語とタイで作られた単語の例その3
タイオリジナル | パーリ・サンスクリット由来 | その他借用語 | |
ก | กล้วย(バナナ) | กรรณ(耳たぶ) | ก๊อก(蛇口) |
ข | ไข่(たまご) | ขณะ(~の時) | ขจี(可愛らしい) |
ค | ค่ำ(夕方、夜) | คมนาคม(交通) | เครดิต(クレジット) |
ง | งั่ง(間抜けな) | องศา(温度、角度の度) | กำบัง(隠蔽する) |
จ | เจ็บ(痛む) | จริยา(行為、品行) | จมูก(鼻) |
ฉ | ฉวย(掴む) | ฉันทะ(満足、歓び) | จับฉาย(寄集め) |
ช | ช้าง(象) | ชมพู(ピンクの) | ชา(お茶) |
ต | เต่า(亀) | ตรี(数詞の3) | ตั๋ว(チケット) |
ถ | ถ่าน(炭) | อุปถัมภ์(援助する) | ถนอม(大事にする) |
ท | ท่วม(溢れる) | ทิฐิ(頑固さ) | ทะเลาะ(喧嘩する) |
น | น้อง(妹弟) | นคร(都市) | นักเลง(チンピラ) |
ป | ป่า(森林) | ประภา(光明) | โปรด(お気に入りの) |
ผ | เผ่า(部族) | ผลผลิต(製品) | เผอิญ(偶然に) |
พ | พ่อ(お父さん) | พายุ(嵐) | พม่า(ビルマ) |
ม | แม่(お母さん) | เมฆ(雲) | เมตร(メートル) |
ย | ยา(薬) | ยักษ์(夜叉) | ยี่ห้อ(ブランド) |
ร | ร่ม(傘) | รถ(車) | ริบบิ้น(リボン) |
ล | ลวง(欺く) | ลดา(つる草) | ลออ(ハンサムな) |
ว | ว่า(言う、責める) | วิทยา(智識) | วิว(景色) |
ส | สาม(3) | สมัย(時代) | สแลง(スラング) |
ห | หา(探す) | หงส์(鳳凰、白鳥) | หัจญี(イスラムの尊称) |
以上が、言葉の由来等により分類したものです。
由来で分けるということよりも、「綴りのルール」がそれぞれのグループによって異なってくるので、そのための分類と認識したほうが良いと思います。
この分類だけでは綴りに関して、余り役に立つことは少ないと思います。「ルール」については少しづつ紹介していく予定です。
まずは余力があればこの分類を覚えておくと、綴りミスを減らせるる第一歩になるハズです。(タイ人もそうしてます)
若い人はゴリゴリと一つ一つの単語を丸暗記できるのでしょうが、僕のようなものぐさはこういった方が楽かなと思ってしまいます。
ま、どっちでもイイんですけど、一応紹介しました。
おわり
参考資料:「รู้ภาษาไทยให้ลุ่มลึก」