【タイ語のことわざ】「知らない」じゃ済まされない!上手な牛の飼い方

世の中には何をするにも後手後手にまわって、上手くいかない人って周りにいませんか?

そんな周りにいる人の一人あそーくです。

全ての可能性を考えて、緻密に用意周到にデキる人は、正直羨ましく思います(泣)。

今回はそんなデキる人ではなく、デキない人を例えたことわざの紹介です。

デキる人も、そうでない人もご一読していただけると幸いです。

それではどーぞ

วัวหายล้อมคอก

牛がいなくなってから柵で囲う

発音:wua hǎai lɔ́ɔm khɔ̂ɔk

単語
  • วัว:牛
  • หาย:なくなる、いなくなる
  • ล้อม:取り囲む、包囲する
  • คอก:柵、囲い

このことわざの意味は、ダメージの大きい結果をもたらすようなことが起こった場合、その時になってようやく解決策を探るということです。

防ぐ方法や手段を考えたり、実行したりする機会と時間があったはずなのに、コトが起こるまで何もしません。

手遅れになってからようやく対策を考え始めるという状態を表しています。

コトが起こった後も何も対策を立てないよりはマシだと思いますが、要するにキチンと準備してなかったアイツはアホや! って事です。

ことわざの由来

このことわざはタイのある古い物語が元となっています。

その物語とは…

ある里にお百姓さんが住んでいました。

このお百姓さんは牛を飼っていましたが、その飼い方はたいそう簡単なもので、ただ木の幹につながれているだけです。

牛も逃げることはありません。ただじっとして飼われています。

そんなある日、泥棒が来て、牛がつながれていた縄をほどいてどこかへ連れて行ってしまいました。

このお百姓さんはたいへん悔しく思い、諦めようとしても、どうしても気が収まりません。

もう二度と牛を盗まれることがないように、盗まれた牛がいたところをグルっと囲うような柵を作ることにしました。

出来上がった柵はとても頑丈で、ちょっとやそっとじゃ壊せないように丈夫に作ってあります。

泥棒が侵入するなんてとても出来ないくらいな頑丈な柵です。

お百姓さんは、これでもう二度と牛泥棒の被害にあう心配はなくなりましたとさ。

もう牛はいないのに….

タイの田舎は治安が悪い…という話ではありません。

色んな意味でかわいそうなお百姓さんの話です。

「いや、雨露をしのぐ屋根もないところにつながれている牛の方がかわいそうだ!」

まー確かにそうですが、ただのお話ですので。

それはいいとして、このお百姓さん次に牛を飼うときのために対策を立てているんだから、失敗は失敗だけど、「取り返しのつかない大失敗!」ってほどじゃないんじゃ…?

と思われた方もいるはずです。

確かに、このお百姓さんは自分の失敗からキチンと学んでます。

これが、マンゴー泥棒とか、ニワトリ泥棒対策としてならタイ人でも「まー失敗したけど、次がんばれよ!」と励ましてくれるでしょう。

しかし、牛であることが問題なのです。

マンゴーやニワトリより単価が高い…という経済的側面から大きな損失と捉えることもできるでしょうが、それだけではありません。

タイ人にとって牛や水牛と、他の家畜とはちょっと扱いが異なります。単なる経済動物では無いのです。

詳しくはこちらをどうぞ

【タイ語のことわざ】やっぱり日本人は節約上手?それともケチなだけ?

とにかく、タイ人的には「取り返しのつかない失敗」なのです。

そんな「取り返しのつかない失敗」をする前にキチンと対策を立てておけよ! というお話でした。

どんなときに使うの?

対策をしていなかったり、間違った対策をしているような少し愚かな人が、何かを失ってしまって、その後にようやく正しい対策をたてている状況のときに使います。

なので、その状況になる前の段階には基本的には使いません。

日本のことわざの「転ばぬ先の杖」とは少し使う状況が異なります。

「転ばぬ先の杖」場合は警告や、アドバイス的なニュアンスがありますが、このことわざは、そういう人や状況を指して侮蔑する意味合いを含んでいます。

どちらかと言えば日本語の「泥縄」の使用場面に近いものです。

もちろん、「◯◯しないと、牛がいなくなってから柵で囲うという状況になるよ!」のような変則的な感じで警告のニュアンスを持つことはあります。

違いがわかりますか?

具体的使用例

様々なタイ語のテキストにも出演している、毎度おなじみのソムチャイ君です。

実は彼、お酒がとっても好きなんです。

質問

私の彼は毎晩毎晩浴びるようにお酒を飲んでいました。

日系企業に勤務を始めてから、その量は増える一方でした。

私はそんな彼の身体が心配で「ストレス溜まるなら会社辞めるか、運動でもすれば?」といつも言っていました。

すると彼は決まって、「給料の良い今の仕事を辞めてどうすんだ?運動? そんなの面倒臭くてやってられない! お酒飲んでたほうがマシ!」と答えてました。

そんなある日、体調がどーにもすぐれない彼は病院に行くと「肝硬変」と診断されました。

彼は今は反省して運動しています。私は彼に何といってあげたらイイのでしょうか?

回答
牛がいなくなってから柵で囲うだな」と言ってやりましょう。

とこんな感じで使います。

「牛がいなくなってから柵で囲う」ような状況にならないよう、雑な生き方をしないようにしよー! と改めて反省するあそーくでした。

おわり

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