明らかに間違った道に進んでいるのでアドバイスしても、全然聞いてくれない人っていますよね?
こんな周りが全然見えてない状態にある人に忠告すると、却って自分の方が疲れてしまいます。
そんな時は
「ま、自分には関係ないし、どーなってもいいか!」
と考えるようにしています。
どーもあそーくです。
こんな時はたいてい
「一応忠告しといたからな!」
という担保をとっとかないと後で何言われるかもわからないので、取り敢えずいうことは言いますが、深入りしないのが肝要です。
今回紹介することわざは、全然聞く耳を持っていない状態の人を表現するものです。
タイ特有の表現の面白さを堪能していって下さい。
それではどうぞ
สีซอให้ควายฟัง
ソーを弾いて水牛に聞かせる
発音:sǐi sɔɔ hâi khwaai faŋ
- สี:(バイオリンなど)弓で弾く
- ซอ:ソー(タイの伝統楽器)
- ให้ + N + V:N に~(V)させる
- ควาย:水牛
- ฟัง:聞く
ランナー地方では「ランナースタイルのソー」のことを単にソーと呼ぶ。
まぁ胡弓とほぼ同じものと考えて間違いないです。
このことわざは、愚かな人にアドバイスや、一生懸命説明したのに全然分かってくれない場合だったり、または、それらを聞くことは聞いたけど、聞いただけ実際に行動に起こすまでにはいかなかった場合など、アドバイスや説明が徒労に終わることを意味します。
水牛は大型動物の一種です。色は黒や灰色で、湾曲した長い角を持っています。
タイ語で水牛という動物は、愚かな人、間抜けな人の例えでよく使われる動物です。
体が大きくて、立派な角をもっているという見た目はすごいので、身体が大きくて賢くない人を例える場合にも使います。
日本語でいうところの「ウドの大木」的な感じです。
また、美人ではない女の人の例えでも使いますが、間違っても実際に使用しないで下さい。
血の雨が降ります(笑)。
最後のは今回はあまり関係ないパターンの例えでした。m(_ _)m
水牛という動物は、ソーの美しい音色が聞こえてきても興味を示しません。ましてやソーの音色に聞き惚れるなんてことは絶対にありません。
ソーの演者は、水牛から称賛されたり、感動している水牛をみたりすることもありません。まったくの無関心です。
こんな水牛からの反応を期待するのはムダですし、仮に水牛に対してなにかしらの期待をしても(そんな人はいませんが)、無反応なのでモチベーションが上がるわけがありません。
なので、こういう人に何をやってもムダ、徒労に終わるだけという意味になるのです。
まさに骨折り損のくたびれ儲けなのです。
どんなとき使う?
アドバイスを聞かない人や、それを能力的や、意図的に受け入れることの出来ない人に対して使います。
アドバイスされる方も時間のムダですが、このことわざにはアドバイスする人が却って徒労感に覆われるというニュアンスの方が強めです。
なので、アドバイスを聞かないことが「結果として」わかった場合というよりも、「あんな人」にアドバイスしてもムダだ! 的な感じで使われるようです。
具体的使用例
ソムチャイ君は妹のビアさんに誕生日プレゼントを買ってあげるため、二人でショッピングモールを歩いてました。
すると偶然にも付き合い始めたばかりの花子さんと遭遇します。
ソムチャイ君は妹を紹介するいいチャンスだと思い、思いっきりの笑顔で花子さんに手を振ります。
花子さんもソムチャイ君に気付き笑顔で手を振り返しますが、隣にいるビアさんの姿を捉えた瞬間、鬼の形相に変わります。
ノーテンキなソムチャイ君はそれでも手を振り、花子さんの方へ駆け足で向かいますが、花子さんはプイッとしてどこかへ行ってしまいました。
状況が全く分からなくて、(✽ ゚д゚ ✽) としているソムチャイ君に妹のビアさんは
「まずいよ! ちゃんと説明しなきゃ」
とアドバイスします。
何のことかさっぱりわからないソムチャイ君でしたが、妹に軽くレクチャーを受けて、ようやく事態の深刻さに気が付きます。
妹と別れた後、その足で花子さんの住むコンドーに向かいます。
コンドーでは顔見知りのヤーム(警備員)が入り口で立っていますが、今日は様子が少し違います。
花子さんに何かを言われているらしく、中に入ることを許してくれません。
事情を説明してやっと中に入ることが出来ましたが、呼び出してもうんともすんとも返事がありません。
翌日、コンドーの前で待つことにし、一旦帰宅することにします。
朝早く花子さんの住むコンドーに着いたソムチャイ君でしたが、花子さんが出てきたのは2時間後でした。
花子さんに駆け寄ると、花子さんは逃げ出します。
走りながら説明をするソムチャイ君ですが、残念なことに花子さんは走りながらタイ語を理解できるほどのレベルには達していません。
仕方がないので、頑張って「花子さんはキレイ」と日本語でいうと、花子さんはますます怒りだします。
キレイをタイ語の「ขี้เหร่(ブサイク)」と聞き間違ってしまったようです。
やばいと焦ったソムチャイ君はあろうことか「可愛い」というのを「ควาย(水牛)」といい間違ってしまう始末です。
花子さんはキッと振り返り、ソムチャイ君の元に早足で近づいてきます。
般若の形相に変身した花子さんには「ソーを弾いて水牛に聞かせる」状態です。
ソムチャイ君はヘビに睨まれたカエル状態で声を発することも出来ません。
目の前に立った花子さん
バコッ!!
キレイな右ストレートがソムチャイ君の顔面を捉えます。
腰から砕け落ちるソムチャイ君が最後に見たのは般若の形相で見下ろす花子さんの顔でした。
おわり