当ブログではタイ語のことわざをいろいろと紹介しています。
なんだか説明もそこそこに、大半はくだらない「具体的使用例」の紹介になってますが…(T_T)
とにかく、一応ことわざの紹介をしていますので、そもそもタイ語のことわざって何? というところをまとめてみたいと思います。
それではどうぞ
สำนวนってそもそも何?
タイ語で「สำนวน(sǎmnuan サムヌアン)」は慣用句や成句などと訳すことができるものですが、ことわざや格言のことです。
ことわざと格言がどう違うか? というと
ことわざとは、鋭い風刺や教訓・知識などを含んだ、世代から世代へと言い伝えられてきた簡潔な言葉のことである。俚諺(りげん)ともいう。ー 引用:Wikipedia
となっている一方
格言とは、人間の生き方、真理、戒め、武術、相場、商売などの真髄について、簡潔に、言いやすく覚えやすい形にまとめた言葉や短い文章。 ー 引用:Wikipedia
となっていて、イマイチ違いがわかりません。
タイ語の「สำนวน」はこの両方を含んだものです。
当ブログでは「タイ語のことわざ」としていますが、実際は「タイ語のサムヌアン」です。
「タイ語の格言」とか「タイ語の慣用句」だとちょっと堅苦しいかな? といった軽い気持ちで「ことわざ」という語を使っています。
紛らわしいですが、ご容赦ください。m(_ _)m
「サムヌアン」も日本語のことわざや格言と同じで、機知に富んだ言葉や比喩も用いたりしたもので、昔から言い伝えられてきたものです。
また、由来となった物語のあることわざもあります。
タイ人の作品だけでなく、外国由来のものも含まれています。
例えば、「ยาขอบ(yaakhɔ̀ɔp ヤコブ)」といったペンネームをもった人(レッキとしたタイ人です)や、タイを代表する詩人である「สุนทรภู่(sǔnthɔɔnphûu スントーン・プー)」の作品由来のものなどです。
海外のものだとイソップ物語のものもあります。
イソップ物語は古代ギリシャの話なので、人間の考えることに時代や洋の東西の違いなく、普遍的なものも多く含まれていると言えます。
また、自然環境や生活、価値観、信仰、文化や習俗と言ったタイの社会で受け継がれてきたものから出来たものもあります。
タイ人の性格から、ストレートな表現をすることを余り好まないため、直接戒める代わりにことわざを使って、「ほのめかす」ためには必須のツールと言えます。
実際、学校でも「サムヌアン」の学習をしますが、この辺りは日本と同じです。
というわけなので、「サムヌアン」を知らないタイ人がいるのも事実ですが、知っていると一つ上のクラスにアナタを導いてくれるでしょう。(笑)
タイ語の「サムヌアン」には大きく二種類に分けることが出来ます。
それぞれについて説明していきます。
สุภาษิตとは?
まずひとつ目は「สุภาษิต(sùphaasìt スパーシット)」と呼ばれるものです。
これは日本語だと格言とかに相当するものです。
内容は戒めなど、教え諭す系の言葉です。
人生の指針となるものや、進むべき道を指し示してくれるような言葉を類型化して「สุภาษิต」と呼ばれています。
親から子へと長く受け継がれているといった感じの言葉です。
例えば
「ช้าๆ ได้พร้าเล่มงาม」

とか
「น้ำขึนให้รีบตัก」

などが「สุภาษิต」に相当するものです。
คำพังเพยとは?
二つ目は「คำพังเพย(kham phaŋphəəi カムパンプーイ)」です。
このことわざは、善悪や、すべきこと、警告といった、聞き手をある方向に導くというものであったり、何か大切なことを指し示して、聞き手や読み手の心に響かせると言った目的をもった類の言葉ではありません。
単にある一つの視点や考え方を表しているにすぎません。
(以下のリンク先のことわざとタイトルに関連性を見いだせないのも無理はありませんが、説明はしているのでご安心ください。(゚∀゚))
例えば
「ปลาใหญ่กินปลาเล็ก」

とか
「หนีเสือปะจรเข้」

と言ったものがこの「คำพังเพย」にあたるとされています。
辞書では
ちょっと分かりにくかったでしょうか?
さて、辞書ではこの二つの「スパーシット」と「カムパンプーイ」はどういう風に訳されているのでしょうか?
まずは「プログレッシブタイ語辞典(初版第1刷)」ではどうでしょう?

「スパーシット」に関しては「格言・ことわざ」と随分味気ないです。
一方「カムパンプーイ」は「警句、教育的な格言、ことわざ」となっています。
???
何か今までの説明と違うような…(汗)
一応大学書林の松山先生の方の辞書で調べてみます。

「スパーシット」は「格言、金言、箴言(しんげん)、警句、諺(ことわざ)สุภาษิด とも綴る」とあります。
『箴言』は、ユダヤ教では「諸書」の1つであり、キリスト教では知恵文学の1つとして『詩篇』の後に置かれる。 ー 引用:Wikipedia
さすが詳しいです。
「カムパンプーイ」の方は「諺、譬え話、俗諺(ぞくげん)」となっています。
なんか、プログレッシブの方とは意味合いが違うような…
一応「พังเพย」とも云うので、これで調べてみると、本来の意味は本などの注釈の意味ですが、この辞書の②の意味に、「諺、格言、金句」とあります。
というわけで、最後の切り札、タイで最高権威の辞書である「王立学士院の辞書」で確認します。
「สุภาษิต スパーシット」
昔から受け継がれてきた言葉や文で、教訓、道徳としての意味を持つもの。
「คำพังเพย カムパンプーイ」
教訓的なものでなく、中立的な表現(客観的なもの)で出来事をわかりやすく説明しているもの。
とあります。プログレッシブの方はちょっと違うようですね。
とは言っても、「スパーシット」と「カムパンプーイ」の違いなんて余り気にする人はいないと思います。
どちらも「サムヌアン」に違いはありません。重要なのは「使えるかどうか?」なので、分類にそれほど意味を見出しても仕方ないのかもしれません。
プログレッシブの辞書は例文が豊富に掲載されている、他に例をみないタイ語学習者にとってありがたい一品です。
一つや二つの間違いともいえないところに目くじらを立てるのは止めにしようと思います。
おわり