タイの菜食週間ーギンジェー。その概要と南部の儀式を紹介してみるぞ!

9月の終わりとか10月の初めころには、タイのあちこちで黄色地に赤字で「」と書かれた幟(のぼり)やら商品のパッケージやらで埋め尽くされます。

どーもあそーくです。

今回はタイの「 กินเจ (kin cee – ギンジェー)」についての紹介です。この時期にタイに来たことない人にとっては余り馴染みのない行事かと思うので、少し解説したいと思います。

กินเจ「ギンジェー」とは

「เทศกาลกินเจ (thêetsa kaan kin cee – テーサガンギンジェー)」と呼ばれるこの祭(?)は中国由来のものです。

伝説では、仏教の儀式で、9つの星(太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星、ラーフ、ケートゥ)が一緒になって行ってものです。この儀式の間は9つの星は白い服を着て、肉を控えたんですって。なんじゃそりゃ良く分からん!

ラーフ/ケートゥはインドの天文学におけるナヴァ・グラハ(九曜)の星。要するに月軌道の、地球の公転面に対する交点の二ヶ所を星とみなしたもの…らしい

まぁ神話の類ですが、それを人間が代わりに行っているってこと? そうなんすか? すげーぞタイ人!

「เทศกาล(thêetsa kaan – テーサガン)」には、とか季節とかの意味があります。それで星とかが関係してるのかもしれません。

ということは日本でいうところの「節」が適当なんでしょうか? 端午の節句とか節分とか…だとすると

齋食節..

…イメージ湧きにくい。以下ギンジェーに統一します。

簡単に言うとベジタリアンの祭なんですが、ご存知の通りベジタリアンの種類も星の数ほどあります。ヴィーガンからノンミートイーターまで様々です。タイの性別なみの種類の多さです(笑)。

その中でもこのギンジェーの祭での食事内容は中国由来ということもあり、いわゆる東洋ベジタリアンの部類になります。

「東洋ベジタリアンってなんぞ? 聞いたことないです!」

って方のために軽く説明しますと、肉食(含む魚肉・卵)に加え、臭いの出る植物も食べないというものです。

元々は仏教から来たらしいんですが、それが道教に入っていろいろあって、まぁそういうことです。

で、食べたらダメな植物というのが五葷(ごくん)と呼ばれ、5種類あるそうですが、これも地域によってバリエーションがあるそうです。

で、タイでこの時期にキンジェーで食べたらダメな植物とは

  • にんにく
  • ネギ類(玉ねぎ・長ネギなど)
  • らっきょう
  • ニラ
  • パクチー

以上です。

「えーっ! にんにくとかネギとかもダメなの~」

「じぇじぇじぇー」(古っ! 失礼しました)

心配しなくても大丈夫です。食事を強制されることはありませんので。

これ以外にもパクチーだけじゃなく、他の香辛料を含むって考える人たちもいるそうなので、その場合は結構味気ないタイ料理しか味わえませんね。ま、1週間ぽっちですけど。

この人達の中には香辛料の中には動物の血で作ったものがあるから食べちゃダメって信じてるらしいですけど、そんなものは僕は聞いたことはありません。

もちろんある種の香辛料は強精剤っぽい働きをするらしいからダメとのことです。タイに来てはじけ過ぎちゃダメよ(笑)ってことですね。

とまぁ、そういった信仰をしている人が一定数いるので、この時期のタイに来ることがあったらちょっとお試しで食べてみるのもいい経験になると思います。

喫茶店のポスター

とうぜん豆乳推奨です!

こんな感じでバンコクではそんなに

「祭りやってます!」

って感じでもなく、ギンジェーの祭が進行していくので、注意力散漫な人だと

「え? そうだったの? いつから?」

「もう終わったよ!」

なんてコトにもなりかねません。目を皿のようにして街を散策して下さい(笑)。

目印は赤と黄色!

ギンジェーの色

じゃあなんで赤と黄色なんか?

という問いには一発で答えられます!

「中国人が好きな色だから」

はい、身も蓋もありませんので、一応説明します。

漢民族にとって、もっとも縁起がよい色です。理由は聞かないで下さい…

黄色支配者の色で、許可されたものしか使用が認められないんです。中国の王様とその身の回りのものに使うこの色を一般人は使えません。ドンキホーテにいるチャイナの人たちはみな王族ですウソです。

ついでなんで服の色に関しても

は漢民族の葬儀では白い服を身に着けるっていう、葬式の黒みたいな感じですかね。

ギンジェーになんで白い服かはわかりかねますが…縁起のいい色ではないのは確かです。何か謎があるのか?

南タイのギンジェーの概要

こんな感じでバンコクでのギンジェーの期間はゆる~く過ぎ去っていきます。

一方、南タイではこうはいきません。かなり異彩を放っています。気を引き締めていきます。

南タイでもギンジェーは中国暦の9月1日から9日まで行われます。

ベジタリアン料理(以下ジェー)を各地域の廟(?)とか(寺院ではない)の近くで、みんな一緒に食べます。

この儀式で大事にしなければならないことがあります。

以下耳の痛い話ではありますが、心して聞くように(笑)

  • ギンジェーの儀式を受け入れて実践する
  • 野菜と果物のみを食べる
  • 悪事を働かない
  • 殺生をしない
  • 邪な心をもたない  ….よう心がける(笑)
さぁ、これからだんだんキビシクなってきますよ

  • 夜遊びしない(笑)
  • 酩酊するものを摂取しない
  • 白い服を着る
  • 読経し、瞑想し、祈り、心を平静に保つ
  • 自分自身と家族のために祈る
  • 良いこと(タンブン)をする (厄払いのため)
  • 笑顔で親しく、お互いに仲良くする
  • 必要経費を出し合ったり、料理のお手伝いをする

中には

「オレ、それムリだから…」

ってのもあるでしょう? わかります。わかりますとも!

でも外部の人間が強制されることはありませんので安心して下さい。ココではギンジェーがどういったものかを紹介してるだけです。

南タイでのギンジェーの儀式

ここ南タイの儀式は様々な信仰が習俗されたものが特徴となっています。

その信仰は道教や儒教、精霊信仰に仏教(大乗仏教)です。これらのものが混沌と混ざり合って独特な南タイのギンジェーの儀式が成り立っているんです。

なので、一見すると

「本当に中国由来なの?」

ってなコトも多々あります。

完全に神様(精霊?)が憑依して、ありえないことをしていたりします。

但書き
写真は大人の事情と、個人的趣味により掲載を遠慮させていただきます。

それでは儀式の具体的内容を記述するので、それで勘弁してください。

儀式の前日

まずは寺院を掃除して、お香を焚きます。

そして神様を迎えるために、竹の先に黄色い旗をつけたものを寺院の前に掲げます。一応この旗のこと覚えといて下さい

夜中の12時に玉皇大帝と九皇大帝を9つのランタンとともに迎え入れます。

ちなみにこの9つのランタンは、九皇大帝の神霊(霊魂)を意味しています。

さぁ、ここからがギンジェーの本番がスタートです。

神様を受け入れたあと各方角を兵士が監視します。まぁ四天王像ですね。実在の軍人ではないです。兵士的な霊魂が降りたものをそう位置づけているということです。

準備

信者たちは食器や調理器具をきれいに清めて、生臭いにおいをさせないようにします。

普通の食器と混ぜないように分けておいたり、家庭によっては新しい食器セットをわざわざ買うほどの周到さです。

これに料理を盛り付け準備完了です。

廟(?)から食事を分けてもらう場合もあります。

9日間にわたる儀式の詳細

神に礼拝する儀式ー廟と菜食を実践している家は供養の道具をそろえ、お祈りをします。

菜食を3日続けたら、そのひとの身体、こころ、感情は純粋なものと変化するらしいです。断食療法みたいな?

方位を守ってる四天王像みたいなのに対して慰労する儀式ー各方位を守る兵士がちゃんと仕事するように3日目、6日目、9日目に食事とお酒をささげる儀式です。

「ボランティアでやってるんじゃねーぞ!」

ってことです。報酬をもらったからには仕事はきっちりします!

お経をよむ儀式ーこの儀式は、玉皇大帝(道教の最高神)を招き入れてから、一日2回、朝と晩の毎日、お経を読みます。

7日目の夜にやる儀式ー菜食の人たちを守ってくれるよう星に祈り、お札を配ります。

親戚を訪ねる儀式ーこれは縁起がいいことで、厄払いになります。

各廟はそれぞれパレードをし、通りを練り歩きます。

信者は家の前にテーブルを用意して奉納するものを準備し、パレードが前を通るとき、憑依した人が神通力で尖ったものを身体に刺します。身通力ではありません。この祭りのクライマックスですね。超能力だそうです。

火渡りの儀式ー超能力で火渡りをするために火をおこし、真っ赤な炭で炎揺らめく中憑依した人が走り抜け、自分がピュアで、超能力をもっていることを証明します。

菜食を信奉している人も神の火で身体を清めます。地獄の業火ではありません。

誰ですか? 度を越したガマン大会などと言う人は?

超能力です! 清浄な彼らには超能力が宿っているんです。…まぁこの期間だけですけど

シメの儀式ー最終日です。

昼間、玉皇大帝を迎えるときに使った旗でお見送りします。旗のこと覚えてましたか?(笑)

一方、九皇大帝は夜中の12時、菜食者が一緒に歩いて水際までを送って海にある天国に帰っていくということです。

廟の扉のそとに神様を送り出したら、すぐに明かりをすべて消し、大扉を閉め夜が明けたら旗をおろします。

占い的にいい日時に兵士(方角を守ってた)を呼び、ねぎらい、帰します。おわったら大扉を開けます。

以上が儀式の大体の内容ですが、仏教というより道教的要素が強いんでしょうか? あまり馴染みがないのでわかりません…特にガマン超能力のくだりは汚れた僕には理解できない世界です。

要するに、ギンジェーの儀式は殺生し、命を奪うこと、すべての悪いものを避け、儀式に参加した人たちみなの団結力を築くという設定です。但し自らを傷つけることは除く(笑)。

まぁそういう設定なので外部の者がとやかくいう権利はありません。

当然バンコクでは、こんな激しい儀式はありません。通常のタイ料理を楽しむことももちろん可能です。

おわり