【タイ語のことわざ】八百でも八万でも数打っても当たらないモノとは?

日本語で「うそばっかり」のことを「嘘八百」といいますが、なぜ800なんでしょうか?

「嘘っぱち」の「ぱち」から「八」になったのは想像に難くないですが、なぜ八千でも八万でもなく八百なのでしょう?

数が多いことの比喩なのはわかりますが、なぜ800という具体的数字が表現されているかはわかりません。

誰か分かる人いますか?

タイにもこういった特に意味のない数字というものはあります。

しかも「ウソ」に関する言葉です。

真実が一つに対して、嘘は複数なのは当然なのですが、タイでも日本でも2つや3つではなく、かなり膨大な数を対比として使っています。

それでは今回のタイ語のことわざをどうぞ

มะกอกสามตะกร้าปาไม่ถูก

オリーブ三かご投げても当たらない

発音:makɔ̀ɔk sǎam takrâa paa mâi thùuk

単語
  • มะกอก:オリーブ
  • สาม:(数字の)3
  • ตะกร้า:かご
  • ปา:体の反動なしで近くへ投げる
  • ไม่:…しない、…ではない
  • ถูก:(物)にぶつかる、命中する

このことわざの意味は、気まぐれで当てにならないことを言ったり、言うことがコロコロ変わるため信用がおけないということを表したものです。

「มะกอก」とは、いわゆる僕らの知っているオリーブではなく、モンビンノキといった種類の樹木からとれる実です。

この実はタイ料理の材料としてよく使われるものです。

バンコクという名前の由来になったという説もあります。

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このモンビンノキは大きな木で、その葉は酸っぱいのですが、生で食します。

熟していない実はビンロウの一種で、熟すとその味は酸っぱさに渋みが加わってきます。

根と種は薬の原料になったりもします。

食べきれないほどのたくさんの実がついたような場合には一旦収獲し、保存しておきます。

モンビンノキの説明はこのくらいにしておいて、この実というのは、他の人に当ててやろうとして投げたとしても、簡単に避けられてしまうほどの大きさなのです。

それはどれだけたくさんの実を使った物量作戦に出たからといって当てられるようにはなるものではありません。

その物量作戦でつかうモンビンノキが3かご分にものぼるということです。

なぜ3かごか? はわかりませんが…(笑)

とにかく、いくら言葉を投げかけても真実に到達しないことを、いくら投げても当たらないモンビンノキの実という比喩を使った表現です。

こういったことから、言うことがコロコロ変わって、信用ならない人やコトを表現したものとなりました。

どんな時に使う?

言うことが、気紛れや騙す目的だったりしてコロコロ変わったり、嘘が上手で、言葉通りに受け取ってはいけない人やコトに対して使います。

日本語の「まゆつば」のように疑ってかかるべきものといったニュアンスがあり、よく注意して話を聞くなど警戒する必要がある場合に使われる言葉です。

単純に人の話を盲信するな! っちゅーことです。

だからといって「สุภาษิต スパーシット」ではありません。「คำพังเพย カムパンプーイ」です。

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そういった状況や人を比喩的に表現しているだけのことわざなので、こういう場面に出くわしたら比喩的に言い換えて使ってみてください。

「おおー」

とタイ人に感心されるかもしれません。(笑)

具体的使用例

花子さんは実はソムチャイ君と付き合う前に、3ヶ月ほど別のタイ人と付き合っていました。

彼の名はパーティ君で、ソムチャイ君の元友達です。

パーティ君は見た目もかっこよく、花子さんにもよく尽くしてくれて、一見ほぼ完璧男子だったのですが、ただ浮気症なのが問題でした。

しかも言い訳が絶妙で、さすがの花子さんでも疑いすらしないくらいの巧妙な嘘を毎回毎回つくのでした。

しかし、あまりに都合の悪い日が続いたので、ちょっと疑問に思った花子さんは、ある人を雇ってパーティ君の行動を監視してもらうことにしました。

すると…

パーティ君に対する疑惑は真っ黒なものだったのが判明したのです。

その報告に対して未だ

(間違いじゃないの?)

とパーティ君を信じたい気持ちがあった花子さんはそのことに対してパーティ君に問いただしたところ

「いやーそこには行ったことないんだけど…」

とか

「ほらっ、うちの会社のソムチャイっているだろ? よく背格好がよく似てるって言われるんだ!(スマイル)そいつと間違えたんじゃない?」

とか言ってますが、パーティ君の言ってることは花子さんにとってはオリーブ三かご投げても当たらないものでした。

あまつさえ

「そう言えばソムチャイがそこに行くって言ってた!」

といったパーティ君自らの弁明が彼の最後の言葉となってしまったのです。

なぜなら、花子さんが雇ったある人こそソムチャイ君だったからです。

そのパーティ君の弁明を聞いた花子さんは、被っていた猫を脱ぎ捨てて彼女本来の姿に戻ります。

その結果、パーティ君が3ヶ月ほど入院したのは言うまでもありません。

おわり

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