ベテルギウスとリゲルの間にあるものとは?北部タイの星座にまつわる話

北半球の冬の代表的な星座と言えばオリオン座です。

このオリオン座はトレミーの48星座の一つで、ギリシャ神話の中で一つの話が語られています。

どーもあそーくです。

星座の一つ一つにギリシア神話の話がありますが、もちろんギリシア由来のもので、各土地にはそれぞれ物語があったはずです。

タイではどうだったのでしょうか?

オリオン座はオリオンという狩人を星座に見立てたものですが、そのベルトの部分にあたる「オリオンの三ツ星」と、オリオンの右肩のベテルギウス、左足のリゲルに関するタイのお話があります。

今回はタイに伝わる星の物語とそれに関するタイ語を紹介します。

それではどうぞ

タイ語の中の星の名前

タイ語でオリオン座のことを「กลุ่มดาวนายพราน(klùm daaw naai phraan)」と言います。

「กลุ่มดาว(klùm daaw)」が星座の意味で、「นาย(naai)」が、〇〇さんとかミスターとかの意味です。「พราน(phraan)」が猟師とかハンターのことです。

ギリシャ神話の中に出てくるオリオンが猟師なので、こういったタイ語訳になるようです。

このオリオン座をタイの星座は亀の星「ดาวเต่า(daaw tàw)」とも呼び、オリオン座の三ツ星部分は亀の甲羅の模様です。

三ツ星だけを指して「ดาวไถ(daaw thǎi)」ということもありますが、同時にこの言葉はオリオン座自体を指す場合もあります。

今回紹介するタイの星の話は、この亀の星のうち、甲羅の模様に当たる三ツ星と、左前足に当たるベテルギウス、右後ろ足に当たるリゲルの物語です。

オリオン座の三ツ星はミンタカ、アルニラム、アルニテクですが、タイ語では「ดาวมินทาคา」、「ดาวอัลนิลัม」、「ดาวอัลนิแทค」と書きます。

また、ベテルギウスは「ดาวบีเทลจุส(daaw biitheencùt)」、リゲルは「ดาวไรเจล(daaw raiceen)」と言います。

それではどうぞ

オリオン座の三ツ星の物語(北部タイ)

タイ北部方言ではベテルギウスをウペムというそうです。

ダオ・カン・サルム・タル

昔、ある村に猟師の夫婦が住んでいました。妻は3年もの間身ごもっていた。村の住民はこのことを気味悪がって、二人は住んでいた村から追い出されてしまいます。

その後、娘を出産しますが、母親の方は亡くなってしまいます。

父親は娘をウペムと名付けます。「父の最愛の子」という意味です。

娘は美しく成長しました。その美しさは周辺の村でも評判で、様々なところから娘のウワサを聞いて男たちが集まってきました。

そんな中、勤勉で気立ての良い青年である、クン・サルム・ロルという青年がウペムをひと目見て恋に落ちてしまいます。

クン・サルム・ロルの口説き文句にウペムは落ち、二人は付き合うことになりました。

二人は愛を育くみあい、結婚を意識するようになります。

そこで、クン・サルム・ロルの母親にこのことを承諾してもらいに行きます。

しかし、クン・サルム・ロルの母親は内心反対でした。息子を村の名家の娘と結婚させるのが夢だったからです。

一方のウペムの父親も遠い村に嫁ぐのは反対でしたが、「娘がどうしてもというなら」と承諾します。

当時は、娘は夫の村で生活するのが慣習でした。

ウペムも夫の村で生活することになりました。

しばらくするとウペムは身ごもりました。

クン・サルム・ロルの職業は商人でしたので、家を空けることがしょっちゅうです。

村の名家の娘との結婚を望んでいたクン・サルム・ロルの母親は息子が商売に出かけている間に、義理の娘に暴力を含め、悪逆の限りを尽くします。

身ごもっていることなんてお構いなしです。

とうとう我慢できなくなったウペムは村を飛び出て実家に帰ってしまいました。

実家に戻ったウペムの身体は限界を超えていました。家につくなり、父親の腕の中で息を引き取ってしまいます。

さて、クン・サルム・ロルが商売から帰宅してみると妻がいません。

実家に戻ったと察したクン・サルム・ロルはウペムの村へ向かいます。

村についたクン・サルム・ロルですが、村の住民にはウペムが亡くなったことは知れ渡ってます。

当然村の娘を亡き者にした夫を許すはずもなく、クン・サルム・ロルはウペムの家に近づくことすらできません。

しかたなく硬貨をバラマキます。村の住民が硬貨に気を取られているすきにウペムの実家に入ることができました。

ウペムの実家で見たものは息を引き取った妻の姿でした。

あまりの悲しさにクン・サルム・ロルも息絶えてしまいます。

最初は怒っていたウペムの父親でしたが、クン・サルム・ロルの悲しみの大きさに驚き、彼を許し、二人が永遠に一緒にいられるように二人を並べて埋葬しました。

本来のタイ北部のしきたりでは、夫の埋葬は妻の埋葬の1時間前に行わなければならないのです。

遅れてやってきたクン・サルム・ロルの母親でしたが、既に二人は埋葬された後でした。

別々に埋葬してほしいクン・サルム・ロルの母親ですが、すでに並べて埋葬された二人を分かつのは、この地域の風習で無理なのです。

そこでクン・サルム・ロルの母親が悔しまぎれにとった行動が、二人の亡骸の間に三本の竹竿を突き刺したということです。

そして、この三本の竹竿がオリオン座の三ツ星となったそうです。クン・サルム・ロルの星であるリゲルと、ウペムの星、ベテルギウスがオリオン座の三ツ星で分けられているのはこういった理由からという話です。

どんだけ嫁さんが憎かったんでしょうか?  ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

嫁と姑の問題は時と時代を超越するという教訓です。 (゚∀゚)

参考資料:「アジアの星物語」

この「アジアの星物語」はアジア各地の星に関する神話や伝説を集めたもので、興味深いものが沢山掲載されているのですが、残念ながら現在は絶版のようです。

そういうわけで、この中のタイに関する一つの話の概略を紹介しました。

古本等で見つけたら購入してみてはどうでしょうか?

おわり