【タイ語のことわざ】宵越しの金は持たねぇタイ人に政府が取った策は?

タイでは10月31日は貯蓄の日となっています。

貯蓄とかしてますか?

どーもあそーくです。

タイ人は貯金をするのが苦手だと良く自嘲気味に言いますが、本当なんでしょうか?

何事をするのにもお金は必要です。計画的にしなければ目的の額には到達しません。

一方で効率的に物事を運ばなければ大きなことを成功させることはできません。

この計画的と効率的という二つの要素を兼ね備えて成功にたどり着くことが出来ます。

タイ人はこの点をどう克服してるんでしょうか?

ตำข้าวสารกรอกหม้อ

米を杵でついて、鍋を満たす

発音:tam khâaw sǎan krɔ̀ɔk mɔ̂ɔ)

単語
  • ตำ:(杵などで)つく
  • ข้าวสาร:米(脱穀した)
  • กรอก:(狭い口に)流し込む、注ぎ込む
  • หม้อ:鍋

直訳すると「米を杵でついて、鍋を満たす」ということは、つまり「必要なコト以外はしない」という意味になります。

そんな向上心のない怠け者の行動を戒めたり、揶揄したりする時に使うことわざです。

ところで、どうして怠け者に対することわざに米をつくということが例えられたのでしょう?

その昔、タイでは今のように脱穀されたお米は売ってませんでした。

当然脱穀所も米の仲買いもなかったので、自分たちで米を脱穀しなければなりません。

そこそこ面倒な作業だったんでしょう。杵って結構重いですし。

そんで食事のたびに、蔵から出してきて、米を杵でついてすぐ炊ける状態にしなければなりません。

勤勉なというか、計画的に人生を考えているような人は、一度に蔵中の米を杵でつくのは無謀としても、一度に何日分かの米を杵でついて、時間を少しでも作ろうと努力します。

まとめて米をつくことで、道具を出したりしまったりする時間が節約できます。

ただ、米をつく事自体は大変で、あと少しだけ頑張れば時間やらなんやらで得をするのに、ココで言う怠け者はそれをしようとしないんですね。

要するに、その日に食べる分だけ杵でついて力尽きてしまいます(笑)。

未来の分の米のコトとなんて考えもせず、今必要な分があれば取り敢えずは満足するので、そこで頑張るのをやめてしまうんです。

自転車操業とかで動かざるえない状況はなく、動かなくても構わない状況だったら、あえて動かない…そんなメンタリティです。

まー気楽なもんです。全然切羽詰まってません。怠け者っていうのはこんなので満足してしまうような人だ! そんなんじゃダメだ! ということを訴えたいことわざです。

でも、タイ人の言う怠け者って、必要なことはするんです。意外とレベル高ぇー!

具体的にどんな場面で使われるのか?

このことわざでは、ただ何もしない人のことを指して怠け者といってるのとはちょっと違うようです。

具体的にな用例を出した方がわかりやすいですよね?

例えば、会社の新入社員が先輩なり上司なりに言われたことだけしかしない、それ以外のことは一切しないような場合にもこのことわざを使うことができます。

「米を杵でついて、鍋を満たすよーなことしてんじゃねーよ!」

って怒られる新入社員みたいな。

うーん。タイ人に言われてもねぇ(笑)。

他の例だと、自営業で店舗を経営している人、仮に弥次さんとします。

弥次さんは店を時には朝8時から、時には昼過ぎと、好きな時に開店します。閉店時間も似たりよったりです。

と、そこへ弥次さんの親友である喜多さんがやって来ました。

「おい、弥次さん! そんな米を杵でついて、鍋を満たすみてーに好き勝手に店を開けたり、閉めたりしてるてぇと、今に誰も客が来ね-ってなことになるってなもんだ!」

と苦言を呈します。

ま、こんな感じですかね?

タイ人の計画性

タイの中央銀行であるタイ銀行の調べ(2017年)によると、タイ人の持ってる口座のうち、5万バーツ未満しかないものは、全体の88%を占めているそうです。ほぼ9割です(笑)。

で、口座を持っている人の中での88%なので、持ってない人も含めるともっと多い割合になりますよね。

5万バーツっていうとだいたい日本円にして18万円前後です。

確かに平均的なタイ人の所得は日本のそれよりも低いです。

で、この口座を持っている人って、豪邸に住んでいる人や、高級コンドーを所有している人、高級車に載っている人もぜーんぶ含めての数なので、やっぱりヒジョーに貯蓄額は少ないです。

「どんだけ貯蓄できないんだ!」

と嘆くタイ人がいるのもわかります。

タイ人の80パーセントが6ヶ月未満生活する分の貯蓄しかないっていう統計もあるくらいです。(2018年)

家を買ったり、自家用車を現金でポーンと買ったりするのは到底無理のようです。

つまりは基本借金であるという予想ができますね。

ちなみに冒頭でいった、タイの貯蓄の日が制定されたのはというと….

1998年….

ガハハハ! 二十年は経ってんぞー。

その時生まれた赤ちゃんは、20歳を超えてるって(笑)!

まー、水田にパーッと種籾をぶちまけるだけで一年に三回も米を収穫できる人たちに、

「先のことを考えて計画的に!」

といってもムダ! そういった危機感はタイには存在しなかったんです。

というわけで現代では、借金とか、クレジットとかですぐにでも手に入りますよね?

「欲しい!」

と思ったらすぐ手に入れないと気がすまないんです。

ちなみにタイでは扇風機ですら分割払いができます(笑)。

取り敢えずガマンとか出来ねーんだな! と微笑ましくありますし、タイ人にデフレマインドとか説明するのはこんなんだと思います(笑)。

宵越しの金は持たね-だけでは飽き足らず、借金までこさえてしまうタイ人は、江戸っ子の進化形です(笑)。

まとめ

今回紹介したことわざは、日本人の感覚からすると、食べるたびに脱穀なんて面倒な作業をする人のことを怠け者とは決して思いません。

どっちかと言うと「マジメじゃね?」と肯定的に評価します。

一方タイではそんな非効率的なことをわからないのは

「アホなの?」

って考えるというのがタイ人の考え方のベースにあるようです。

タイ人にとっては、効率的に作業をすることが重要であって、決まった時間に定期的にすることはぜーんぜん意味のないことなんです。

こんなタイ人にとっては、そもそも先の喜多さんの言うような、「毎日決まった時間に開店」っていう前提がないんですね。

なので、同じ時間に通勤するなんて考えられないほどの苦痛です。

タイで、รถติด(rót tìt – 渋滞)で遅刻することが頻発するのも致し方ないことなんです(笑)。

そんなタイ人も計画的に貯蓄をすることに憧れるという…

無い物ねだりのお話でした。

おわり

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