2019年3月24日にタイで久々の総選挙が実施されます。
前回から実に約7年9ヶ月ぶりの選挙ということになります。
ニュースにも選挙に絡んだものが増えてきています。
タイ語には略語が多く、何の意味なんだか略語を知らないと理解できないと思います。
日本だと、自由民主党が自民党だったり、文部科学省が文科省と略語がありますが、漢字を使っているので我々日本人はその意味をなんとなくは理解できます。
一方タイ語の場合、44文字、そのうち2字は廃字なので実際は42文字での略語です。
覚えていないと何を指しているのかサッパリわかりません。
なので今回は特に選挙も近いことですし、政党の略語とその党の簡単な解説をしてみます。
それではどうぞ
国家平和秩序評議会
まずは2014年の軍事クーデターにより政治を担っている国家平和秩序評議会から始めます。
いきなり政党ではありません。(笑)
英語の略語は「NCPO」です。
タイ語での正式名称は「คณะรักษาความสงบแห่งชาติ(khaná ráksǎa khwaam hɛ̀ŋ châat)」です。
長いですよね? ニュースでも大体が略称を使って報道されます。
略称は「คสช.」です。一応発音は「khɔɔ sɔ̌ɔ chɔɔ(コーソーチョー)」です。
政治的な性向とかは特にありません。軍事政権ですから。
これからはだんだんと聞かれなくなってくると思いますが、2019年の現時点ではまだまだ耳にすることも多い略称だと思います。
次か各政党について解説したいと思いますが、泡沫政党も含めた全部というわけにはいかないので、選挙前の投票予想に基づいて、主要政党4つプラス1の5政党について紹介します。
事前の予想では半数以上の人が「まだ決めてない」とのことですが、上位4政党がそれぞれ10パーセント前後で拮抗しています。
選挙には95パーセント以上のタイ人が「行く」と言っています。
タイ人がそう言ってるのです。
当日は渋滞で行けなくなるかもしれません。(笑)
選挙行かなかったのに言い訳はいらないんですけど…
タイ貢献党
まずはタイ貢献党です。
タイ語では「พรรคเพื่อไทย(phák phɯ̂a thai)」です。
「พรรค」が政党という意味なので、タイのための党という意味です。
英語での略称は「PT」です。「Pheu Thai Party」の略なので、特に英語というわけでもないですね。
日本語でもプアタイ党と呼称されることもあります。
一応略称は「พท.」(phɔɔ thɔɔ)となっています。
フルネームで呼ばれることが多いと思います。名前長くないし。(笑)
タイ愛国党の実質的後継政党です。タイ愛国党以来、名前を変え、二度の解党命令が出たタクシン派ですが、前年インラック元首相が海外に逃亡しました。
いわゆる赤シャツ隊と非常に近い関係にある政党です。
前回の選挙では圧倒的勝利を得ました。
今回の事前予想では以下に紹介する3政党と拮抗していますが、タクシンの出身地である北部や、イサーン地方などの農村部で圧倒的な支持を有しているのでどうなるでしょう?
まー大衆主義の政党なんですが、個人的には経済政策にちょっと心配な気がします。
民主党
タイ最古の政党です。
英語での名称は「DP」Democrat Party ー そのまま民主党です。
タイ語の正式名称は「พรรคประชาธิปัตย์(phák prachaathípàt)」です。民主的な政党という意味です。
略称は「ปชป.」です。
支持基盤は特権階級と、バンコクの中産階級です。
現在では民主主義・議会主義を否定している政党なので、名前に騙されてはいけません。(笑)
保守自由主義ともいえますが、日本だと極右と定義されるに違いありません。(笑)
従来は以上2党で二大政党を形成していました。
国民の力党
日本語でなんと呼称するかはまだ確定していないようです。
正式名称は「พรรคพล้งประชารัฐ(phák phalaŋ prachaarát)」です。
「พล้ง」が身体的・精神的・物理的な力という意味です。
そして「ประชา」が人々や群衆で、「รัฐ」が国、国家という意味なので、全体で「国民の力党」と訳してみました。
パランプラチャーラット党でもいいと思います。長いか?
略称は「พปชร.」ですが、「phɔɔ pɔɔ chɔɔ rɔɔ(ポーポーチョーロー)」だと逆に長くなるのでは?(笑)といった気がします。
この党は現在政権を担当している国家平和秩序評議会のプラユット首相を支持している政党です。
プラユット首相自体は当政党のメンバーではないのですが、首班指名はプラユット現首相を推すとしています。
まー軍事的要素の濃い保守主義といったところです。
新未来党
この党の正式名称は「พรรคอนาคตใหม่(phák anaakhót mài)」です。
「อนาคต」が未来とか将来とかで、「ใหม่」が新しいという意味なので、「新未来党」としてみました。
略称は「อ.น.ค.」です。この党の略称には文字の間に必ず「.」が付くので注意してください。
で、「ใหม่」はどこ行った?(笑)
日本語での名称は確定していないようですが、中国語では「未来前進党」というそうです。
アナーコットマイ党って呼ばれるようになるかは微妙です。
この党は社会民主主義を掲げ、若者の間で人気が高いようです。
(物価が上がるのは困ります…)
今回の選挙では最も注目を浴びる存在になると思います。
ただ、3月6日までのリサーチでは若干支持が下がり、上記の3党と少し差が開いてきました。
中間よりちょい左といった政党ということですが、日本だとどうなんでしょう? これでも、右派だ! ネトウヨだ! って言われそう。(笑)
実質的には、以上4党で争っている状態です。
これに次のタイ自由党が5・6パーセント(事前予想から「まだわからない」を除いた場合)の支持率といったところです。
タイ自由党
タイ自由党はタイ語で「พรรคเสรีรวมไทย(phák sěeriiruam thai)」といいます。
略称は「สร.」です。「sɔ̌ɔ rii(ソーリー)」と発音します。
警察関係の政党です。
だいたい以上5政党がメディアでは報道されています。
他にも政党はあると思いますが、我々は外国人でもあることですし、この辺りの政党さえ抑えておけは必要十分かと思います。
かつてはタイ貢献党と民主党でどちらが政権を担当するかという争いでしたが、今回の事前のアンケートでは少し様相を変えてきているようです。
「二大政党制が理想の形」というのは迷信みたいなものだと思いますが、このままいくと、連立政権になることはほぼ間違いないと思います。
7年9ヶ月も経つと国民の感覚も変化するのは当然ですし、国家の構成員自体も入れ替わっているのでなんとも予想がしづらいのではないでしょうかね?
結局はタイ人が決めることですし、取り敢えず選挙に不正がなければいいのではないでしょうか?(笑)
だいたいこんな感じです。
ちなみに記事内の数字は「バンコク大学リサーチセンター」のアンケートによるものです。
参考 公式サイトバンコク大学リサーチセンターおわり