【タイ語のことわざ】草食系といっても本物の草食系です。喰われる方ネ

普段から怖そうな人だとそうでもないんですが、いつもはニコニコしているような人の本性が恐ろしかったりするのを垣間見るとゾッとします。

今回紹介するタイ語のことわざはこういったタイプを表現するものです。

いつもとのギャップがその恐ろしさを倍増させます。

ギャップこえぇ…です。

それではどうぞ

หน้าเนื้อใจเสือ

見た目は草食系だけど中身はトラ

発音:nâa nɯ́a cai sɯ̌a

単語
  • หน้า:頭
  • เนื้อ:牛肉、水牛の肉
  • ใจ:心、心臓
  • เสือ:トラ

まずは簡単に単語の補足説明をしたいと思います。

「หน้า」は頭の意味ですが、首から上ではなく額から顎までの部分を指します。

他にも表だとか、前面とかいった意味以外にもメンツとかいった意味もあるので、日本語の「顔」の表現と似ています。

「季節」といった意味もありますが、これは綴りが同じだけで、語源は違うかもしれません。

「เนื้อ」は「肉」の意味です。

「肉喰いてー!」

の肉です。この場合タイ人は牛肉とか水牛の肉を意味します。

「肉喰いてー!」の時「チキンは?」と言われたら

「鳥じゃないんだよなぁ…」

と思う人もいると思いますが、そんな感じです。

で、このことわざの中で使われている「หน้าเนื้อ」という意味は食肉として使われる動物の頭という意味になります。

タイでは一般的にこういった捕食対象の動物は獰猛ではないので、肉食の動物と比べて美しい見た目といったイメージがあるようです。

こういった動物には鹿とか羊とかがいます。

「ใจ」は心臓の意味ですが、心という意味もあります。日本語ももちろんですが、英語でも同じですね。この辺りの感覚は人類共通のイメージなのは面白いです。

最後のトラというものに対するタイ人のイメージですが、獰猛な動物だという他の国の人が持つ一般的なもの以外にも別のイメージがあるようです。

トラというのは肉食動物なので他の草食動物などを狩りに行かなければなりません。

そしてトラの狩りの方法というのは夜暗くなってから補食する夜行性の狩りなんだそうです。

こういったことからタイ人はトラに対して悪知恵が働くとか勇敢なとか大胆といったイメージをもっています。他にも残忍で凶暴な人のことをトラにたとえたりします。

というわけなので、このことわざで使われている「ใจเสือ」という言葉はトラのように残忍で凶暴な性質を表現していて、前半の草食動物の頭との対比で使われています。

以上のことから、このことわざの意味は外見は陽気で明朗快活だけど、その本質は凶暴で残酷ということを表現したものとなっています。

どんな時に使う?

心が残忍で冷酷なんだけれど、外見はいつも陽気で朗らかに振る舞っていてその本質がわからないような人を表現する場合です。

日本語の「猫を被る」は普段はおとなしいけど、本当はそうでもないといったくらいの意味ですが、このことわざの対象としている人はそんなレベルではありません。

「猫を被る」という表現の中には「実は意外とやる」といったニュアンスも含まれていて、良い評価をする時に使う場合もありますが、「見た目は草食系だけど中身はトラ」は違います。

はっきり言って「危険人物だ!」くらいの意味合いで使います。

なので使い方には気を付けて下さい。

具体的使用例

ドスッ

崩れ落ちたのは花子さんの会社の社長さんです。

「テメェー! いったいどういうことだ?!」

花子さんは社長さんを殴った拳を震わせながら怒声を発してます。

「な、なんのことだね? 花子君」

「テメェはいつもニコニコいい顔しやがって…いい人だと思ってたのに!」

「だから何のことだね?」

「うるせー! なんで残業代出てないんだよ!」

社長さんは花子さんの話に顔を (゚∀゚) としながら聞いています。

「役員になったから頑張って朝から晩まで働いたのに…それを」

「だ、だから…」

「うるせー! 黙ってオレの話を聞け!」

と社長さんの顔を殴る花子さんです。社長さんは鼻から血を流しながら

「お、オレって…」

「いいか、お前みたいなヤツのことをタイでは見た目は草食系だけど中身はトラって言うんだ! 覚えとけ!」

と花子さんは社長さんの胸ぐらを掴んで凄みます。

「でも…役員ってそういうもんだから…」

「はーっ? 何言ってんの? ちょっと待ってろ!」

と花子さんは片手は社長さんの胸ぐらを掴んだままどこかに電話をします。

「あ、もしもし草太? ちょっといい?」

と花子さんは知り合いの草太君に事情を説明します。

「フツーそうですよ。それより花子さん入社二年目で役員ですか。そんなに大きい会社じゃないとは云えスゴイですねぇ。びっくりしました」

「え、まぁ…そう? スゴイ?」

「スゴイですよ! だから間違っても社長さん殴ったりしないでくださいね。警察沙汰になりますよ。あ、冗談です(笑)」

「はははは…そんなことするわけないじゃん(棒)」

と社長さんを見下ろすと社長さんは

「…ていうか、なんでタイ?」

という言葉を残し、そのまま息を引きと気絶してしまいました。

この後花子さんがこの会社を辞め、タイに高飛びしてきた(つもり)経緯の話です。

おわり

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