今回はソンクラーンにまつわる伝説を紹介します。
そもそもソンクラーンはインドのホーリー祭が起源の一つと考えられています。
このあたりの事情についてはこちらをどうぞ

バンコク周辺にはいたるところにモン族の集落だったところが残っています。
このモン族の間に伝わっているソンクラーンの物語の紹介です。
それではどうぞ
Contents
ソンクラーンの天女の伝説
昔あるところに子宝に恵まれない不運な大金持ちがいました。
その大金持ちは子供が二人もいる大酒飲みの近くに家を建てました。
新たに隣に住むようになった大金持ちに対して、その大酒飲みは日に日に妬むようになっていきます。
大金持ち、ガジュマルの神に祈る
ある日のことです。大酒飲みの男は妬みの心が大きくなりすぎて、ついには大金持ちに子供が出来ないことを嘲り、なじりたおしたのです。
この理不尽な大酒飲みの言いように、大金持ちの男はひどく恨みを抱くようになってしまいました。
あまりにひどい言いようだったので、大金持ちは太陽と月の神を祀り、その神に子供が授かるよう三年以上もの間祈り続けたのです。
しかし、その願いも虚しく、子供のできる兆しさえありません。
そんなある日のことです。太陽がおひつじ座に入った時、使用人を連れて水辺のガジュマルの木の生えている所に行きました。
そこで大金持ちは白米を七回水の中ですすぎ、その白米を炊いて、子宝に恵まれるようにガジュマルに宿る神様にお祈りしました。
このガジュマルの神様は大金持ちに同情し、インドラ神に謁見して大金持ちの男の事情を話しました。
インドラ神もまた大金持ちの男に対して慈悲の心が起こり、「タンマバーン」という神を大金持ちのもとに送りました。
タンマバーングマーンの誕生と成長
そうして生まれてきた赤ん坊は「タンマバーングマーン」と名付け、ガジュマルの木のもとにお城を作り、そこに住まわせたのです。
それからタンマバーングマーンは成長し、鳥の言葉を覚えました。
3つのヴェーダの教えを学び終えたのは七歳のときです。
そうして様々な徳を教え説く聖職者となったのです。
ブラフマー神の来訪
ある日、ブラフマー神が来て、三つのことを質問しました。
ブラフマー神が尋ねるたのは
「朝は吉祥はどこにあるか? 昼は? 夜は?」
といったものでした。
そして、もしタンマバーングマーンがこの問いに答えられたらブラフマー神の首を渡すが、出来なければ首を切ってしまう、互いの頭を賭けたものになってしまったのです。
すぐに答えることの出来ないタンマバーングマーンはブラフマー神の問いに対して「七日間の猶予を下さい」とお願いします。
猶予をもらったタンマバーングマーンは懸命にその答えを探そうとするのですが、なかなか問いに対する答えを見つけることができません。
つがいの鷹の会話
とうとう六日を過ぎた時、タンマバーングマーンはガジュマルの木のもとにある城から出てきてしまいます。
というのもブラフマー神に殺されるよりは、誰にもわからないところで死んでしまったほうがいいと考えたからです。
そんなことを考えていたら、木の上につがいの鷹が二羽、巣を作っているのを偶然見かけました。
「明日、どこかに食べ物を探しにいってきましょう」
とメスの鷹がいうのに対して、オスの鷹が
「タンマバーングマーンの死体を食べればいい」
と答えるのでした。
オスの鷹は、タンマバーングマーンは問題に答えることができず、ブラフマー神に殺されると見越していたのです。
そこでメスの鷹はオスの鷹にブラフマー神が出した問題を聞きました。
オスの鷹はメスの鷹にその内容を教えたのですが、メスの鷹も答えることが出来ません。
そこでオスの鷹は答え知っていたので、それをメスの鷹に教えます。
「朝には吉祥は顔にある。だから人は毎朝顔を洗う。昼には胸にあるから香水を胸にふりかける。そして夜はと言えば吉祥は足だ。だから人は寝る前に洗うんだよ」
と、タンマバーングマーンは鳥の言葉を知っていたので、鷹の話の内容を理解し、ブラフマー神の問題の答えも知ることが出来たのです。
ブラフマー神の再来訪、そして結末
夜が明け約束の七日目を迎えると、ブラフマー神はやってきました。
タンマバーングマーンはオスの鷹の言っていた通りの言葉をブラフマー神に対して答えました。
すると、ブラフマー神はインドラ神に仕えている自分の七人の娘たちを呼び出しました。そして彼女たちに告げたのは
「私は首を切って、タンマバーングマーンに供えることなった。我が頭がもし地上にあったなら火は地上を焼き尽くすだろう。空中に投げたなら雨が降らなくなるだろう。そして、もし海へと沈めたら海の水は干上がってしまうだろう」
とブラフマー神は七人の天女に告げました。そして、続けて
「なので、娘たちよ! まずは一番上のトゥンサが我が頭を迎え入れるのです。そして右回りに須弥山の周りを回りなさい。そして60分経ったらカイラス山に向かい、カントリー洞窟の中に我が頭を安置するのです」
それからというもの、毎年マハーソンクランの日に、その中の一人がブラフマー神から告げられたとおりにその頭部を受け取ります。
七人のソンクランレディ
この選ばれた一人の天女をナーンソンクランと呼びます。
ナーンソンクランに選ばれた天女は、須弥山の周りを60分、そしてカイラス山の洞窟の中に頭部を安置するということを毎年行っているということです。
そして、マハーソンクランの日が何曜日かによって、どの天女がナーンソンクランになるのかが決まるという話です。
各曜日に割り当てられているブラフマンの娘たちである天女は
日曜日 | นางทุงษเทวี | ナーントゥンサテーウィ- |
月曜日 | นางโคราคเทวี | ナーンコーラークテーウィ- |
火曜日 | นางรากษสเทวี | ナーンラークソットテーウィー |
水曜日 | นางมัณฑาเทวี | ナーンマンターテーウィー |
木曜日 | นางกิริณีเทวี | ナーンギニーテーウィー |
金曜日 | นางกิมิทาเทวี | ナーンギミターテウィー |
土曜日 | นางมโหทรเทวี | ナーンマホートーンテーウィー |
ということだそうです。
ちなみに2019年は日曜日の天女、ナーントゥンサテーウィー、つまり、最初にブラフマー神に命じられた天女がナーンソンクランだということです。
2019年のソンクラーンの始まりは4月13日(土)で、この日がマハーソンクラーンの日。
「え? おかしくね?」
と思った方も少なくないでしょう。(笑)
このマハーソンクラーンを算出するのは、太陽暦ではなく、陰暦の5番目の月、新月から数えて10日目の日曜日の15時3分3秒と同じだそうです。
つまり、簡単に言えば陰暦では日曜日ってことだそうです。
よくわからんけど、そんな感じです。
2018年のプラプラデーン・ソンクラーンでの一コマ
2018年プラプラデーンのソンクラ-ンで現代のソンクラーンレディを探すべく周りを物色していたときのことです。
並んでるお姉さんたちに
「ちょっと写真取らせてもらってもいいですか?」
と思い切って聞いたんですね。返事はというと…
「いいわよ♥」
と言ってみなさん一斉に立ち上がり、満面の笑みを浮かべながらカメラ目線です。
「え、いや、そっちじゃ…」
(ホントはその隣のお姉さんに話しかけたんだけど…)
とは思いましたが、そんな笑顔を向けられたら写真取らないわけにはいきませんよね?
笑顔のとても素敵なソンクラーンレディ・ガウ達でした。www
おわり