タイでセパタクローと言うとタクローね!と必ず訂正。そのルールや歴史

東南アジア全般で人気のスポーツと言ったらセパタクローです。

バンコクでもちょっとした広場があるとセパタクローをして遊んでいるタイ人の姿を見ることがあります。

日本では「聞いたことある」くらいで、余り馴染みのないスポーツですが、タイでは学校の授業に取り入れられているくらいメジャーなスポーツです。

今回はそんなセパタクローの世界へとご招待します。(笑)

それではどうぞ

セパタクローとは

語源

タイでは一般的にセパタクローとは言わずにタクロー(ตะกร้อ takrɔ̂ɔ)と呼んでます。

「เซปักตะกร้อ(seepàk takrɔ̂ɔ セーパックタクロー)」という言い方もあるにはあるんですが、こういうと何故か

「あ、タクローね!」

と必ず訂正されます。そこには何かしらのタイ人的な誇りがあるのかもしれません。(笑)

ちなみに「Sepak セパッ」はマレー語で「蹴る」という意味だそうです。

「ตะ」が編むとかいう意味で、「กร้อ」が竹製のザルのことです。

つまり、この競技で使う籐製のボールのことです。

古い中国語由来の可能性のある言葉ですが、北部タイではこの「ตะกร้อ」で籐製のものを蹴って遊ぶことを指していたそうです。

いずれにしても、セパタクローのタクローの部分はタイ語ということになります。

日本や、世界で一般的に呼称されているセパタクローはマレー語とタイ語の混成語ということです。(以下タクローとします)

歴史

このタクローの歴史はそれなりに長く、マレーの文献には15世紀にタクローがなされてたというものが、歴史上最も古いものだそうです。

そこには、タクローで遊んでいた人が蹴ったボールが王様(スルタン)の頭に当たってしまったと記述されているそうです。

で、蹴ったその人はどうなったか? というと

処刑じゃ!

まさか自分の人生の終わりがこんな結末だったとは、想像もできなかったでしょう。

合掌 ちーん ってイスラム教徒だった.. ま、いっか。

実際このタクローがされていたのはそれよりも古い時代ということは想像できますが、タイではいつから始まったのでしょうか?

フランス人の記録した古い文書があり、それによるとアユタヤ朝のナレースワン大王(1590ー1605年)の時代までは少なくとも遡れるようです。

また、エメラルド仏で有名なバンコクのワット・プラケオの壁画には、サルの部隊がハヌマーンと共にタクローで遊ぶ姿が描かれています。

ちなみにワット・プラケオは1785年に建てられたお寺です。

とは言ってもこのころのタクローは現在のものとはかなり違ってました。

かつては円になって籐製のボールを蹴るというスタイルだったそうです。

日本の蹴鞠を彷彿とさせます。

現在のスタイルは、1940年代の初頭にタイで形作られました。

最初のルールは、サイアムスポーツ協会によって1929年に作られます。

その後バレーボールで使うようなネットを導入したり、あれやこれやを制定して、現在の形になります。

以上のように近代タクローはタイによって出来たものであるため、タイの国民的スポーツとなりました。

セパタクローのルール

道具

従来のボールは籐製のものを使用していましたが、現在ではプラスティック製です。

籐製のものも売ってることは売ってます。

形は12個の穴と、20箇所の交点をもったボール状に編んだものです。

男子はボールの周囲が42~44センチ、女子は43~45センチの大きさのもので、女子の使用するもののほうが若干大きめとなっています。

重さに関しては大きさに反比例して、男子170~180グラム、女子は150~160グラムと男子の使用するものが重くなっています。

バンコクだとスーパーとかでも売ってます。

正式なコートは、バドミントンと同じサイズの6.1X13.4メートルの大きさですが、街なかで見かけるものに関しては、まー大体それくらいの大きさだったらOKみたいです。

ていうか全然気にしてません。(笑)

ネットの高さも一応バドミントンと同じです。

ルール

 

ベースとなったルールがバレーボールのようです。

ただ、手を使ってはいけません。

三回蹴る間に相手方のコートにボールを入れなければなりませんが、同じプレイヤーが続けて蹴ってもOKです。

点数は21点を先取した方の勝ちで、防御側が失敗した時に点数が入ります。

攻撃側の失敗はサーブ権が移動するのみです。

あと、バレーボールのように守備位置がグルグルと代わったりはしません。

基本的なルールはこんな感じです。

あと、ネットに触ったらダメとかはバレーボールのルールと同じです。

サーブに関しては少し特殊で、ネットの柱そばにある半円のサークル内(半径90センチ)から味方にトスを上げます。

それをセンターサークル(半径30センチ)にいるプレイヤーが蹴って相手のコートに入れるのが、タクローの「サーブ」です。

基本的に、1チーム3人(これを「Regu เรกู」といいます)で行いますが、草タクローでは勿論こんなことは気にしてません。

残念ながら、東京オリンピックの競技種目にはなっていませんが、日本代表のチームもあるらしく、東南アジアでの人気は高いので、いずれは…となるかもしれません。

僕はリフティングも数回しか出来ないので、もっぱら観戦専門ですが、足回りの器用なサッカー経験者の方がいましたら、一度トライしてみるのはどうでしょうか?

おわり