タイの南部はいまだに何かと物騒です。
ここにあるサダオという町からマレーシアへ通過できるのですが、わさわさこんな危険なエリアを陸路で国境越えするアホは少ないと思います。
どーもあそーくです。
特にマレーシア側から入る時には要注意です。
今回はそんなアホな僕の体験談です。
このルートで抜ける予定の人はくれぐれも注意してください。といっても相手次第ですが…
快適な船旅と豪華なバスツアー
それは今から(2018年現在)数年前のことです。
僕はペナンで楽しい旅行を済ませたあと、バンコクへ向かうことにしました。
普通はペナンから飛行機でバンコクまで行くのですが、市街から空港まで距離があるのと、フライトもそう頻繁になかったので
「直接バスでバンコクまで行ったほうが楽じゃね? たぶん安いし」
なーんて思っていた頃もありました。
ペナンからバタワースに向かい、バスに乗る
ペナン島からは長距離バスはなかったので、フェリーに乗って対岸のバタワースまで向かいます。
20分ほどで対岸に到着したあとは船着き場を降り、バスターミナルに向かいます。
その中にある旅行会社に 「バンコクまでの直行便はない」と言われたので、とりあえずハジャイまでのチケットを予約します。
ハジャイで再度バンコク行きのチケットを買わなければいけない手間はありますが、ないのでは仕方ありません。
出発までは1時間ほどです。ゆっくりペナン での旅を思い出しながら待つことにします。
あまり期待はしてなかったのですが、いざバスが到着すると、軽く引くくらいにスーパーデラックスです。
乗車すると、飛行機のファーストクラス並、いやそれ以上の広さです。(注::ファーストクラス未経験)
心の中でガッツポーズをとった僕は、意気揚々とバスに乗り込みます。
バスはハジャイに向け出発し、その天国のような 居心地を満喫していました。その後に地獄が待っているとも知らずに…
国境に到着
バスは途中一度の休憩を挟み、マレーシア側の国境に到着します。税関で手続きを済ませ、出国審査を受けマレーシアを出ます。
マレーシアとタイの国境間には少し距離があり、バスで移動しなければなりません。なので再びバスに乗り込みます。
タイ側のゲートに到着すると、そこでバスを降ります。
バスのガイドは乗客に
「入国 ゲートの向こう側で待っている」
ということを伝えた後、バスと共に去っていきました 。
税関を通過し入国審査で入国のスタンプを押してもらえばタイ入国です。
入国審査では人数も少なく、10分ぐらいで 僕の番になりました。
すべてのトラブルのはじまりはお前だ!
入国審査窓口でパスポートを渡し、スタンプを押すのを待っていると、目の前にいる、何ともふてぶてしい職員が話しかけてきます。
が、そいつの英語は訛りがきつすぎて何を言ってるのかさっぱり分かりません。
すると一枚の紙っきれを僕に差し出すのです。
そこに書かれてたのは….
2000B!! (゚∀゚)
「もしかして、これがウワサの…」
ふと前を見ると、手招きとかしてるじゃありませんか!
(バスで国境超えしてる奴に言う金額か? 頭おかしぃんじゃねーの?)
と思いまいしたが、一応英語で
「バーツは持っていないんだよー」
とやんわりと伝えると何やら急に叫びだします。
「2000バーツ! 2000バーツ!」
という単語のみを 壊れた機械のように繰り返し始めました。
どうやらそいつの脳みそには、
「たった今マレーシアから来た人間は普通、タイバーツは持っていない」
ということが理解できるほどの知能はないようです。
それでも「2000バーツ!」とわめき続けているので、怖くなった僕は一旦列を離れることにします。
そうはいっても、入国ゲートを通らなければタイに入国できません。しかも足元を見るのには天才的なタイの公務員です。
仕方がないので、しばらく経ってかもう一度並び、入国スタンプを押すようにパスポートを渡しますが、そいつは2000バーツという単語以外は全て忘れたように叫び続けています。
どうやら、「今日ボスが来るから2000バーツ恵んでほしい」というようなこと言ってるような感じです。
ボスってボスザルですか? (・・;)
僕もいい加減まともに相手にするのも面倒になってきます。
そもそも、「ボスが来るから2000バーツ恵んであげなきゃいけない」という論理自体がさっぱり理解できません。
いつまで経っても埒の明かない話をして窓口を塞いでいても、後ろの人の迷惑になるだけです。仕方なく再び列を離れることにしました。
しばらくすると人も減ってきたので、再度列に並び窓口にパスポートを提示します。
こんなコトを何回繰り返したでしょう?
そもそもないものを払えといっているのです。もちろん払うつもりは毛頭ありませんけど、解決の糸口がみえません。
入国ゲートの向こう側にはバスを待たせてあるし、一度は、財布に入っていた「マレーシアリンギットでいいか?」と妥協点を探ろうとするも
「タイバーツ、オンリー]
と仰るじゃあございませんか。
真性のバカなの?
だからオメーはこんな辺境に飛ばされてんだよ!!
と怒りも頂点に達しますが、窓口は一つしか開いてなく、どうしたものかと途方に暮れていると、何人かのマレーシア人が話しかけてくれます。
久しぶりにフツーの人間と話した僕は少し安堵し、これこれしかじかの事情であるということを彼らに説明します。
彼らも同情はしてくれますが、結局どうすることもできず、どうしたものかと少しばかり哀れな僕に付き合って対策を考えてくれます。
そうこうしているうちに、もうひとつのゲートに人が並び始めたので、彼らはそこでもう一度トライしてみたらと言うので、その言葉に従って、列の後ろに並んでみることにしました。
僕の番が来て、パスポートを恐る恐る出すと、しばらくしてスタンプを押し、返却してくれました。第一関門クリアです!
第二の関門
いや今度の御方はマトモで良かった、とホッとしたのも束の間でした。国境を通過すると
バスがいない…
入国ゲートの向こうで 待っている約束だったのに…
何度確認しても、いないものはいないんです。
僕を置いて、とっくに出発した後でした。第二の関門のスタートです。
「あいつめ! 今度あったらタダじゃ於かないからな!!」
と思いましたが、止めます。奴はここで朽ち果てるはずです。二度と会うことはありません。
取り敢えずヘビーな状況ではありましたが、国境線上で起きていた問題と比べるとたいしたことじゃない、入国さえしてしまえばどうとでもなると、考えを切り替えて、ハジャイ行きの方法を探すことにします。
探すといっても英語が通じるような町の雰囲気ではありません。
当時、僕のタイ語は片言っていう単語に失礼なくらいのレベルです。
が、火事場のバカ語学力ですか? なんとかハジャイまでミニバスが出ているということを聞きつけることに成功します。
ATMでバーツを引き出していたりと時間を潰しているとミニバスがやってます。
(ちっさ!)
まぁさっきまでのスーパーデラックスバスとは雲泥の差ですが、選択肢はありません。
バスに乗り込み、やっとハジャイに向かうことができます。外はもう薄暗くなって来ています。
サダオの街は小さく、バスが出発してすぐに真っ暗な林の中です。
(ここでゲリラとかに襲われたら 本当にアウトだなぁ)などと考えてたような記憶が薄ボンヤリとあります。
どれくらいバスに揺られてたでしょうか? 大きな街に入ってきました。とうとうハジャイです。
ネオンが眩しい…おかえり文明社会へ…まるで街がそう囁いてる…そんな感傷に浸ってました。
街に入ってしばらくすると客の一人が「ここで降りろ!」 と突然、僕に言うじゃありませんか。
「えっ、また何か問題?」
と思ったらそこは長距離バスターミナル!
軽く人間不信に陥っています。
「ここからバスに乗ればバンコクに行けるよ」
とそのダンディーで親切なタイ人は僕に教えてくれていたのです。しかもキレイな英語です。一般のタイ人はこうなんです。
第三の関門か?
バスターミナルには降りてみたものの、どうやって乗ればいいのかもわかりません。人もバンコクに比べるとまばらにしかいません。
どうしても翌日までにバンコクに行かなければならなかった僕に、なりふりなど構っている余裕はありません。
その辺に歩いている人に聞き倒そうと思い、一人の若い男性に声をかけました。といっても彼しかいなかったんですが…
彼にバンコクに行きたい旨をなんとか伝えると、「ついて来い!」というではありませんか!
(やった! 助かった!)
彼は小柄ながらなかなか歩くのが速いのです。と思ったのも束の間、更にスピードを上げるではありませんか。
(逃げる? なんで? 逃げられてたまるかぁ!)
と僕も負けじとスピードを上げます。
と突然目の前が開けます。電気で照らされた通りには、両側にテーブルを出して食事を楽しんでいる人がたくさんいます。
タイでよく見る光景です。
(??? いや、バンコクに行きたいんすけど..)
例の彼はテーブルの奥にある店の前で、僕に向かって激しく手招きをしてます。
「腹は減ってるけど…バンコクに…」
と思いつつ店の前に来ると旅行会社でした。
どうやらバンコク行きの最終便の出発まで時間がなく、彼は急いでいたんです。しかも、旅行会社の人でした。
捨てる神あれば… です。
ハジャイ滞在時間、約15分
バンコクへ向けてバスは出発したのでした。
バンコクには、超ーーっ不便なサイタイマイのバスターミナルではなく、モーチット(チャトチャック公園の近く)に到着しました。
このラッキーいらないから、国境のアンラッキーも要らなかった(泣)
後日、サダオの国境で欧米人も何人かやられたという話を聞きます。
タイ南部は公務員も含めいろいろと問題が多いので気をつけてください! という話でした。
おわり