【タイ語のことわざ】ヤックは常にトラブルメーカー。またアイツらだ!

今回紹介するのはタイ語のことわざというよりも、比喩に使われる慣用句です。

タイの国民的文学である「ラーマキエン」に登場するキャラクターがその対象です。

ラーマキエンは日本人には余り馴染みのない物語ですが、タイではとても重要な位置づけにある作品です。

というわけで、今回は主に登場キャラの経歴紹介となります。

それではどうぞ

ทรพี

トーラピー

発音:thɔɔraphii

単語
  • ทรพี:トーラピー

今回は、特に個別に覚える単語はありません。

トーラピーというのはラーマキエンに出てくる牛の名前だからです。

この言葉は、両親に対して恩知らずの子供を指して使います。

多くの人はラーマキエンは読んだことがないと思います。

なので、なぜ「トーラピー」のようだと恩知らずの子供なのか? わからないと思います。

簡単に言うと父殺しです。いわゆるエディプスコンプレックスですね。

ただ、それだけだとつまらないので、トーラピーの出てくる場面を簡単に紹介したいと思います。

トーラピーは水牛の名前です。

トーラピーにはトーラパー(ทรพา thɔɔraphaa)という名前の父親がいました。

トーラパーは元々は「นนทกาล(nonthagaan ノンタガーン)」というヤックでした。ヤックは日本語の夜叉ですが、タイでは鬼みたいなイメージです。

タイ人なら誰でも知ってるノントックの物語はちょっと不条理すぎない?

ノンタガーンはプライスワン(พระอิศวร phrá isǔan = インド神話の破壊神シヴァと同義)の庭園の門番が仕事でした。

この庭園には、「花を摘んでプライスワンに捧げること」が仕事の天女がいました。

この天女にノンタガーンは恋をしてしまったのです。

そしてノンタガーンはあろうことか、庭園の門番でありながら、その花を摘んで、その天女にプレゼントしてしまったのです。

もちろん庭園も花もプライスワンのものです。

困った天女はこのことをプライスワンに告げます。

そのためノンタガーンはプライスワンに、地上でトーラパーという水牛に生まれ変わり、息子によって殺されるという呪いを掛けられてしまったのです。

生まれ変わったノンタガーンことトーラパーは水牛の王様でした。

后(水牛)は1万頭あまりもいます。当然子供もたくさんいたのですが、トーラパーはプライスワンのかけた呪いを恐れていました。

そのため。オス水牛が生まれると、ことごとく殺してしまいます。

なので、子供の水牛はメスだけだったのです。

ある時、メスの水牛が身ごもります。名前を「นิลกาสร(ninkaasɔ̌ɔn ニンガーソン)」といいます。

ニンタガーンは考えました。万が一オスの水牛が生まれた場合、トーラパーによって殺されてしまう、どうしよう? と。

そこでニンガーソンはトーラパーの元から逃げ出し、「สุรกานต์(sǔnkaan スンガーン)」という名前の洞窟で子水牛を生むことにします。

生まれた子水牛はオスでした。この子水牛は、「トーラピー」と名付けられました。

トーラピーが少し成長したある日

「なぜ自分たちは洞窟で隠れるように生きていかなければならないの?」

と、その訳を母親に訪ねます。

母親水牛のニンガーソンはトーラピーに「水牛王であるトーラパーがトーラピーを殺そうとしている」ということを話して聞かせます。

トーラピーはトーラパーに果たして自分が殺されるくらい弱い存在なのか? とトーラパーと力比べをしてみたくなります。

その後、トーラピーは「ประจำถ้ำ(pracamthâa プラジャムター)」という神に預けられます。

そこで強い力と勇気をえるための修行をします。

自分の力が父親と同じくらいになったと思ったトーラピーは、母親と共に洞窟を出ることにしました。

父親と対面したトーラピーはトーラパーに戦いを挑みます。

そして結果的にトーラパーを角で突き殺してしまうのです。

プライスワンの呪いは成就してしまいました。

その後、トーラピーは殺されてしまうのですが、トーラピーを殺した人の弟が、ハヌマーンの父親ですが、それは今回の話と関係ないですね。

と以上がトーラピーの物語です。

まぁエディプスの話とほぼ同じです。

というわけで、父親を殺すような恩知らずの子供という意味の慣用句となりました。

どんな時に使う?

恩知らずで、不孝不忠の人のことを指して言う時に使います。

親を軽視したり、傷つけるようなことをしたり、両親に暴力を奮ったりする人に対してです。

親を侮辱するような言動に対しても使えます。

使い方としては、「ลูกทรพี」といった風に使い、トーラピーの様な子供といった感じで使います。

「ลูก(lûuk)」は子供(息子・娘)という意味です。

具体的使用例

ソムチャイ君は花子さんと付き合い始めた歴史上、最大限に怒っています。

あまりの剣幕に花子さんですらタジタジです。

コトの経緯はこうです。

つい10分ほど前に花子さんの実家から電話がかかってきました。

(どうしたんだろ?)

と思い電話を取ると母親でした。

「うん、うん、わかった」

と電話を切った花子さんの顔は何故か晴れてません。

それを見たソムチャイ君は

「どうしましたか?」

と訪ねたので、

「母親がちょっと手術するってさ、その後入院だって」

と答える花子さんにソムチャイ君は

「じゃあ急いで日本に帰国しなきゃね」

といった言葉に

「別にいいよ」

と花子さんが答えてからが大変でした。

いきなりソムチャイ君が怒り出し、今に至るというわけです。

「お母さんが大変な時にそばに居てあげないなんてトーラピーのような子供だ!」

と言って喚いています。さらに続けて

「もう二度とお母さんに会えなくなったらどうする?!」

とますます大声になります。

花子さんは

(いやー、痔の手術なんだけど…( ゚д゚))

と思いましたが、「痔」というタイ語を知らないし、今さら説明するのもなんだかなーと思い困っているところです。

おわり

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