タイにもインドのカバディのような肺活量を競ったゲームがあります。
このタイのゲームは「ティージャップ」といって、「子供の遊び」なのですが、充分大人でも楽しめるものです。
といっても、「ちょっとしたレクリエーションで楽しめる」といった程度のゲームなので、カバディのようにオリンピックのエキシビションゲームになるといった話は聞いたことがありません。
子どもの遊びなので、ルール設定は甘いのですが、工夫次第で更に面白くなる可能性を秘めていると思います。
それではどうぞ
「ตี่จับ」 とは?
「ตี่จับ(tìi càp ティージャップ)」とは、簡単に言えば、カバディの派生バージョンといったゲームです。
「ตี่」は広げる、散開させる、分ける、分離するといった意味の動詞です。
「จับ」は触るとか、掴むという意味の動詞です。警察に捕まるといった場合もこの動詞が使われます。
この遊びは「ตี่ป๊าบ(tìi páap ティーパープ)」と言われたりすることもありますが、単に「ตี่」とだけでも遊びを指します。
タイ中央部の遊びで、本来はソンクラーンとかで遊ばれるゲームだったそうです。
ソンクラーン (ソンクランとも、สงกรานต์) とはタイにおける旧正月のことであり、タイの旧暦の新年である。現在、政府によって4月13日から15日(仏暦・西暦)に固定されており、祝日になっている。ー 引用:Wikipedia
基本的なルール
二つのグループに別れて遊ぶゲームです。
まず二つのグループの中間に線を引きます。
捕虜を取り返すルールの場合(後述)、後ろにも線を引きます。
攻撃側で、相手陣地に侵入する人は「ตี่(tìi ティー)」と発声していなければなりません。
攻撃する人は一人です。
この「ティー」は途中で息継ぎをしてはダメです。
てぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいい…
といった具合で、息が続く限り声を出し続けます。
そして、このように奇声を発しながら(笑)、相手側の陣地に進入して、誰か一人を “手で” タッチします。
この時、相手側のメンバーはタッチされないように逃げ回ります。
万が一タッチされた人は敵陣に捕虜として連れていかれます。
(この辺りがカバディと少し違うところですね)
この時、誰かがタッチされたら、相手をチーム全員で囲んで捕まえ、陣地に戻らせないようにすることができます。
相手に捕まって自分の陣地に戻る前に息が切れて「てぃーー」の音が出なくなった場合や、自分の肺活量を見誤ったりなどして自陣に戻る前に声が出せなくなった場合には、相手方の捕虜となります。
無事、自分の陣地に戻ることが出来た場合のみ、タッチした人を捕虜にすることが出来ます。
相手側の人をタッチした瞬間には捕虜を捕まえたかどうかは確定していないということです。
これで、捕虜を捕まえられることが出来ず、自分の陣地に戻ってきたら攻撃側のターンの終了です。
この後は攻守を交代して、同じ様に反対の陣地でゲームします。
以上が基本的なルールですが、自分の仲間が捕虜として連れ去られた場合、攻守を交代する前に、取り戻しに行くというターンが加えられるというものもあります。
※基本的なルールの場合は捕虜=ゲームから退場するということになります。
この場合には、捕虜奪還のターンで連れさられた側から「てぃー」といいながら、相手陣地に捕まった仲間を取り返しに行きます。
自分の仲間にタッチできたら無事解放ですが、相手側も捕虜を取り返されないように防御します。
このとき捕虜は敵陣の後方のラインより外に片足を着いておかなければなりません。
複数の捕虜がいる場合は、捕虜同士手をつなぎ、その内の一人が後ろのラインに足を着いている必要があります。
捕虜(自分の仲間)にタッチできたら陣地に戻りますが、その時は相手方も帰還を阻止します。
なので、守る側の人数が多い場合は、手をつないだりして捕虜に近づかせないようにし、捕虜にタッチされた途端に一気に取り囲みます。
失敗したら捕虜となります。
以上が捕虜奪還付きのルールですが、基本ルールよりも「捕まえる」ことで体の接触が多くなるので、大人が遊ぶ場合は基本ルールの方が安全です。
以上、簡単なルールの説明でした。
だいたい全部で20人以下くらいが遊ぶのに適当なようです。
基本戦略
防御側の戦略としては、攻撃してくる人は、ずっと声を発してなければならないので、自陣地深くに相手を誘い込んで、息が切れる頃に背後に回るのが基本戦略です。
攻撃側は一人なので、自分の息の続く限り捕まえに行くことが出来ますが、余り深追いすると逆に捕まってしまうので注意が必要です。
特に戦略というほどのものはないかもしれません。(笑)
レクリエーションとして
基本的には子供の遊びですが、サッカーとか、フットサル、野球のサークルとかのレクリエーションとしても使えるのではと思います。
ルール自体は単純ですが、捕虜となった仲間を取り返すルールの場合はちょっと雑なルールです。
このままのルールだと、大人の場合、けが人が出ないとも限りません。
子どもの遊びですが、中にはだんだん熱くなってしまう人も出てくるかもしれません。
「子供の遊びで骨折」とか恥ずかしくて誰にも話せないですよね?(笑)
そこで、守る側は手を使えないとか、攻撃側は相手チームの誰かに触った場合は急いで戻らないと捕まるとかのルールと作った方がいいかもしれません。
子供の遊びなので、タイでもいろいろと地方ルールがあるようです。
ルーツはカバディである可能性の高いゲームです。
上手くルールを作ることが出来れば、中学や高校の運動部の練習合間のレクリエーションに最適かもしれません。
ま、機会があったら試してみてはどうでしょうか?
おわり